穂高涸沢山行報告(前穂北尾根変更)

 

日程:10月7日(金)夜〜10日(月)

参加者:宇都宮山の会:S子、N島、N川、Y住

1日遅れで参加:T越、K木

歩程:7日(金)栃木運動公園24:00集合・出発

 8日(土) 6:00着沢渡6:20発―(バス)−6:40上高地着7:45同発―

10:30(〜11:20)岳沢着12:00同発―2:30上高地戻り、小梨平

キャンプ場(バンガロー泊)

9日(日)8:10上高地バンガロー発―9:40徳沢―11:00奥又尾根登り口

11:30−14:40屏風のコル―屏風の耳―屏風のコル15:20―16:

00涸沢ヒュッテ(小屋泊) 

10日(月)涸沢6:00―横尾8:00―徳沢9:00〜9:30―上高地11:30

 

はじめに(Y住)

 前穂北尾根に挑戦に行ったはずが、どこでどうなったか奥又白池から涸沢めぐりと屏風の耳から涸沢めぐりの秋の豪華ハイキング山行に化してしまった!?その顛末をとくと聞いて下さい!!!

 そうは言っても今回はとてもいい経験を幾つもしました。

1.                        テントは、フライとサイズがちゃんとあったものを持っていくべき(当たり前か?)

1日目岳沢でテント張った時、フライは間に合わせの小さいものだった事もあり、張るのに手間取っているうちにテントに雨が流れ込んでしまった。

2.                        雨の山行は、ザックカバーしていても、かなりザックが濡れことを覚悟すべし(これも当たり前の常識か)

3.                        日頃は涸れた沢でも、一旦驟雨がくれば、あっという間に鉄砲水の通り道となる!(岳沢にて。これは、聞いてはいたけれど、実際に目の当たりにしたのは初めてで、ぶったまげて皆んな逃げ出した、怖かったね!)

4.                        もともと体力が弱い人間は、常時山をやってないと体力はすぐ衰えて他の人のお荷物になってしまう(それとも歳のせいか?これは私個人の反省)

5.                        天候や参加者の体力、体調、その後の大変さを考慮した安全目の判断が大切だといこと。(今回は、岳沢からの機敏な撤退、上高地、涸沢での宿泊場所の決定もリーダS子さんの決断は大変よかった)

教訓は以上。

でも、紅葉の涸沢は多くの失敗をしても、おつりが出るほど素晴らしかったですね!

皆さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。

この記録は、参加者がそれぞれの気持ちで書いたものです。まとまりがないかもしれませんが、どうかご容赦を・・・

 

10月8日(1日目): N島記

前穂北尾根登攀記録(岳沢敗退)/感想

6日の定例会打ち合わせの時点から天候不順が情報として上がっていた。はたして計画通りに決行していいのだろうか?との意見も当然あったが、その時は無理せず登攀は諦め、上高地散策でもいいではないか。予定通り行く事に決まった。

 7日雨。やはり明日も雨なのか。23時半集合であったがY住・N川さんすでに来ており、N島栃木運動公園は初めてなので迷う。24時S子さん着。いざ上高地へ!!!

 8日早朝、松本は曇っていた。上沢渡バス停前駐車場に車を停め上高地までバスに乗る。この路線バスに乗るのは美少年時代以来の事だから何十年振りだろうか・・・。バスからの景色は昔の記憶を少しずつ甦らせてくれるものだった。大正池は立ち枯れの木々が少なくなっていたものの、そこから見上げる焼岳は昔と何ら変わる事なくそびえたっている。

久しぶりの上高地は観光客で一杯              岳沢目指し上高地の裏側を行く

 

 曇り空を見上げてこれから目指す岳沢を望む。吊り尾根は雲に隠れ見えないが、岳沢ヒュッテ付近は雲の下である。早くテン場で美味しいビールを飲もう!・・・とS子さん。N島同感賛成、すたこらさっさと歩く。久々の宿泊登山なので体力の限界を試運転する。

 下部潅木帯でコーヒータイム。いいねぇ〜!が、ここまで!この後雨が徐々に強くなりだし、一時間も歩くと本降りで、ヒュッテに着く頃には豪雨となる。S子さんは沢を難なく渡れたらしいが、数分後に着いたN島は濁流に阻まれ渡渉できない。上流では小屋の方が梯子で仮橋を架け登山者を渡した。N島も渡ろうとしたが「下山するなら小屋に立ち寄らず早く下山する様に」と言われ、丁度N川さんが到着したので意見を求めた所「テン場はこの上の左岸にあり又戻るので渡らなくていい」との事。

  テン場に上がり張ろうとするが豪雨と強風でテントの中は水浸しである。フライを広げかぶせると「ナヌ!アワネェ〜!」・・・フライは別物で荷物用として使う予定であったのだがあまりの豪雨の為入り口の雨よけとして張ってみたのだ。又、テントは3〜4人用なので荷物を中に入れることは難しい。「本当にこの中で寝るのか?」一抹の不安を覚えるのは私だけか?判断は的確早やかであった。「小屋に撤退!」。テントを丸め早々に岳沢ヒュッテに向かうが変な音はするし「ナヌ!仮橋が無い」増水し撤去してしまったのだ。ガランゴロンゴッツンと変な音の正体は何と石が濁流に押し流される音であった。岳沢ヒュッテは諦め上高地まで撤退。

濁流が駆け抜ける岳沢        小梨平のバンガローは、近くに風呂も

 

 足取りも軽く上高地に着きビールを飲みたかったが、宿に着くまで我慢我慢。N川さんが宿情報を仕入れてきた。小梨平でコテージ4人用が空いているらしい。決定は早かった。コテージは6畳で決して広いとはいえないが炊事道具はあるしストーブもある。これで今夜は快適に眠れそうだ。

ザックはびしょ濡れ着衣もぐよぐしょである。第一の仕事は濡れた物を干す場所作りである。流石山屋岩屋である。ザイル・ヌンチャク・カラビナ・細引を取り出し全て吊り下げる。この作業に驚いたのは私だけだろうが異様な光景に見えた。しかしこの異様な光景は翌日快適な歩行       を招いてくれた。 一連の作業を終了しコーヒータイム。やはり私にはこれが似合っている。湯を沸かしいつものコッヘルに落とした。コーヒーを口に含むと心和み落ち着き安らぐのだ。実に美味い!

 ビールを飲み終え夕食の準備に取り掛かる。S子さんが作りたいと申し出るが今夜の料理ピェンローはN島の19番だ!ウッ?18番か?手出し無用!(何を隠そう、あまりに簡単なので教える事など無いのだ)この料理の凄いところは味付けを自分でするので絶対に美味くなるのだ!どうだ美味いだろう! ・・・いつしか深い眠りについていた。

今日一日を振り返ってみると素晴らしい思い出となった。悪天候の登山にありがちな誤りは見当たらない。第三者の目にはこの様な日に登る事自体疑問を抱くかもしれないが、そもそも山行自体が自然との付き合いであり悪天候も想定されている。自然と爽快に付き合うには、常に余裕を持って判断する能力を持てるかだ。余裕は安全に結び付きその余裕を持たせるのは装備であり経験であり信頼できる人格者がいるということだ。装備経験はなんとかなるものだが「人」はなかなか現れるものでない。そんな意味で今回同行させて頂いた皆さん特にS子さんに感謝する。(誉め過ぎか?)

合掌

 

109日(二日目): K木記

 前日の悪天候で先発隊は岳沢での悪戦苦闘の末上高地へ戻っているということ。そこで

T越さんと私の後発隊は9日朝上高地にて合流しました。天候は思いのほか早く回復して、

上高地が近づくにつれ青空が広がり、穂高連峰の素晴らしい眺めが眠気を吹き飛ばしてくれました。前日岳沢での身の危険を感じるほど凄まじいという濁流の話を聞きながら、う

って変わっての好天のもと、上高地出発となりました。新村橋を過ぎ今回はパノラマ新道コースを行く事としました。このコースは本谷コースよりハード、しかし展望が魅力との

こと。

 ここから約1時間半、奥又白谷の広い河原に到着。澄み切った青空に、見事な紅葉、心地よい秋の風、しばし時間のたつのも忘れて景色を満喫しました。そんな私に「涸沢の紅葉はこんなもんじゃないよ」と下山してきた方たちが口を揃えて教えてくれ、更に期待は

ふくらむばかり。

河童橋と奥穂高                奥又白谷の文岐周辺にて

 

 ここから奥又白池へいく3人と別れ、屏風のコルを目指す事になるのですが、急登の連続といった感じでシンドイ。景色に慰められならがやっとのことでコルに到着。そこからは空身で稜線を急登、ダケカンバ、ハイマツの間を抜け、槍・穂高連峰のパノラマが広が

る屏風の耳で小休止。ナナカマドやダケカンバに彩られた息を呑むほど美しい錦秋の山々は、私の期待をはるかに超えた素晴らしさで、思わず何かに感謝したい言葉にかえがたい気持ちに包まれました。

涸沢までは途中数ヶ所足場の悪いところがあるものの問題はなく、日暮れ前に無事到着。ヒュッテは年に何度とない賑わい方のようでしたが、私はなにせ山小屋初体験なので、何もかもが物珍しくおのぼりさん状態でした。「明日の天候は悪そうだ」と誰かが言うのを耳にしたものの、見上げた夜空には下界で見るよりずっと光の強い多くの星が輝き、これまた得した気分になりながらその日は眠りにつきました。 

屏風のミミから涸沢と穂高を望む         涸沢ヒュッテにて

 

1010日(三日目): 熊木記 

 予定の北尾根は霧のため断念し、本谷コースでの下山となりました。紅葉の涸沢から離れがたく何度もかえりみながら後ろ髪をひかれるのを振り切るように、出発。足元がよい

為横尾までグングン下り、本谷橋ゴールドイエローに色付いたシンボルツリー前で、記念

撮影。徳沢では名物「野沢菜チャーハン」に気持ちを引かれつつ、皆揃って「しょう油ラーメン」に舌鼓を打ち、梓川河原のハ−モニカ吹きのおじさんに負けじと吹くN島さんのハーモニカとホラを聞きながら、無事上高地まで。

涸沢の紅葉とテント              横尾にて

 

今回は天候に左右され、家を出る前にテント泊から小屋泊まりに変更連絡があったにもか

かわらず、経験・勉強不足の私は荷物を減らせず、随分と余計なものでザックを膨らませていました。N川さんには数々のアドバイスを頂き、本当にお世話様でした。ご一緒してくださった皆さんには相変わらず大変お世話になり、感謝しています。どうも、ありがと

うございました。

 

感想文:N川                                  

想定の範囲を越えた自然界の猛威に、圧倒された山行でした。
家に戻ってから岳沢を調べたら、やはり豪雨の時には普段流れさえみえない沢が、激流になると書かれてありました。
そんな時に遭遇できて、幸運だったというのは負け惜しみ?
奥又白池も 井上靖の小説「氷壁」の舞台になった前穂東壁が望め見てきたというだけでも、価値あるものと勝手に位置付けしました。
そして素晴らしい紅葉の涸沢・・・何回も秋に訪れていますが今年の紅葉は筆舌に尽くせない位最高のものでした。
岳沢から撤退して戻ってきた上高地 ずぶぬれの体と荷物を温め乾かしたキャビンでの一夜も N島シェフのピエンローと共に楽しかった思い出になりました。
CL始め参加された皆さん ありがとうございました。

 

感想文:T越

今回の山行は、紅葉の涸沢を満喫したものとなりました。

先発隊4名は岳沢で物凄い雨・雷・沢の増水を体験して逃げ帰って下り、小梨平のバンガローに泊まっていたようですね。そんなことになっていたとは知らず後発隊の私とK木さんは次の日の朝、天気も良いねと小梨平のバンガローまで行って合流しました。後発隊は天気に恵まれ大変すばらしい紅葉を見ることができ有難うございました。ただ残念なのは、前穂北尾根に登攀出来なかったことです。

次回は必ず前穂北尾根に行くぞ

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