記録:  雨の隙をついて3度目の胎内岩
日時:2004年 9月26日
メンバー:CLA藤、SLM本、N脇、N川、K崎h、会員外:K野


行動概要:
5:00 屏風岩ヒュッテ=7:10沼尻登山口/7:20発ー9:20胎内岩上部〜11:40までトップロープでクライミングー14:20沼尻登山口=18:00帰着


記録(A藤):
 関東一円雨の中、午前3時の気象情報で、胎内岩周辺は曇りという予想なので5時事務所集合で出かける。宇都宮からボナリグリーンラインまでずっと雨だったが、林道終点駐車場は降っておらず薄日が射す位。今回は、雨なら「雨山登山」と打ち合わせてあったので全員長靴というアヤシイ6人組である。初訪問のN川、K崎h、K野さんにいろいろ説明しながら霧の登山道を進み、胎内くぐりを越えて胎内岩上部につくと、胎内岩も濡れておらず、ほっとする。
 M本さんビレーでいつもの肩慣らしルートをまずK崎hさんついでN川さん。いずれも一番下の被った壁にトライするが登れず、巻いて登ってくる。その間に私はクラックのルートにN脇さんを降ろし、ハンギングビレーで登って貰う。ハングしたクラックがやはり登れないようだ。
 ついでK野さん肩慣らしルート上半。フリークライミングがうまくなりたいということで、サンカルチャーではたらくようになったというスゴい人だが、この荒々しい岩場では気持ちが圧倒されてしまったようでなかなか手足が出ない。まあ初めての人なら岩場上部から吊り降ろされるだけでも相当な恐怖で足が竦んでしまう位だから無理もない。
 N川さんM本さんは、N脇さんの後クラックルートを懸垂で降り下からトップロープでやることになる。その間に私が肩慣らしルート上半。まあこの部分は5.9-位であり、リードできそう、というか今日はこれくらいはリードしたいと思ってやってきたのだが、段々霧が深くなり雨になりそうな気配。
 肩慣らしルートをK野さん再トライの間、全然登ってこないクラックルートの様子を見に行く。下の二人にコールすると大丈夫のようだが、M本さんが2段目のハングで苦戦のよう。温暖前線接近で波状に雨が降って来たので撤退を決めるが、M本さん登ってこないので本人の意志には反するが、時間節約のため上から引き上げる。下に残ったN川さんも最初から戦意喪失のようなのでハングの部分は引き上げてしまう。TRクライミングと言うより救助訓練といった感じ。
 12時撤収し、温泉源頭の小屋で休憩。雨の中男性陣は露天温泉。大変気持ちがよい。女性陣は足だけお湯に浸けてガマン。小屋の中の荷物を見ると、ボルダラー2人来ているようで、なんと物好きなと思っていたら意外やO野さんだった!このところ胎内岩ボルダーに通っているのはホームページ(http://www.geocities.co.jp/Outdoors-Mountain/9201/)をみて知っていたので、そのうちお会いするかとは思っていたが、こんな天気でも我々より更に遠いところから日帰りで通ってくるとは本当に凄い情熱である。
 2時過ぎ駐車場に降り、例の如く豆腐を活々庵で買って、帰りは白河の「秀佳亭」でラーメンを食べてから宇都宮へ。
 前に胎内岩初訪問の記録に書いたが、クライミング能力的にはこの岩場は明らかに11以上が登れる中上級者のための場所であり、初心者のフリーのレベルでは歯が立たないというより、来るのはおこがましいところである。しかし、アルパインクライミングの練習と捉えると別の効用がある。日頃室内壁や古賀志のようなゲレンデでばかり登っているのでこういう荒々しい岩場に初心者同士で来ると、精神面や応用力など足りないものがよく見えるのだ。というわけで今回もこれまでの課題は解決されず、リードでは何一つ登れず、替わりにまたまた多くの課題を土産にして帰ることになるので、当然またここには通わなくてはなるまい。
 アルパインクライミングを人任せ依存的でなく自分たちの力で安全にやって行くとい うことを考えると、フリークライミング能力(山岳会によっては、初級本ち ゃんに行くことを許可する条件の一つとして、フリーのレベルは5.9あるいは10aオンサイトを 要求しているとのこと)やロープワークの技術、体力など幾多の課題が目白押しだが、今回は私はやはりメンタル面の重要性を再確認した。
 今回の岩場に大勢でなく初めて、二人パーティーででかけたとしたらどうだったか?経験者がおらず、初めての岩場に行き、ツルベでマルチピッチを登ってゆ くとすると、天気その他すべて好条件で何もアクシデントがないときのみにしか「完 登」や「安全」が保証されない、という程度のぎりぎりの力では、本ちゃんマルチピ ッチはたとえ、北岳バットレスや谷川南稜といえどもまだ時期早尚だろう。登り始めたらどんな手段をつかってでも落ちずに登り切る(そういういろいろな方法を知っ ていて駆使できることが大前提)、あるいは深入りする前に見栄や蛮勇にまどわ されず撤退する・・・この辺の判断をメンタル面を含め人にたよらず冷静にできる ようになってはじめて本ちゃんなのではないか。雨に打たれての下山はこういう反省をするのに似合っている。

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