会員のひとコマ
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白毛門沢060910 

 

[撮影者:塚越さん]

 

 [記事:サンカル居候さん]

2006 年 9 月 12 日 作成

白毛門沢 ( 湯檜曽川東黒沢支流 ) 遡行記録

 

山域

谷川連峰湯檜曽川流域 .

 

時期

2006 年 9 月 9 日 ( 土 ) ~ 10 日 ( 日 ).

 

メンバー

キャリーさん ( SL ), 元釣り師 さん , M 上さん , 春の園さん , サンカル居候 ( CL , 記録 ).

 

記録と感想

すっかり日の暮れた関越自動車道を , M 上さんの , 玄人好み?パジェロが疾走する . 明日は , 春の園さん憧れの , 白毛門沢の遡行だ .

大勢の登山客が照らし出されている土合駅を , 右手に見送り , 白毛門登山口の広場に突っ込む . 早速 , テント設営 ,( 極小 ) 宴会 , そして就寝と , スピーディに事が運ぶ .

その夜は暑かった . 寝苦しいのと , どこかの若者が大声ではしゃぐのとで , 寝付きが悪そうだったが , 心配することはまったく無かった . 雨が降っている . 明日の天気が心配だ .

翌朝 , 4 時起床 . 5 時頃 , 当日現地集合の春の園さんを合流し , 期待の白毛門沢へ Go . 今年は雪が多かったので , 雪渓の残り具合いはどうか… .

 

 

天気が良くなってきた . 歩いてすぐの堰堤から , 東黒沢に入渓 . すでにナメっぽい沢を , ヒラリヒラリと進むと , 20 m ナメ滝が現れる . この滝は「ハナゲの滝」と言うそうだが , 「こんな美しい滝なのに , 何故 , こんな命名か . 」と , メンバーが口を揃える . うーむ , 確かに… .

 

 

「ハナゲの滝」を , 慎重に登り切り , 暫く進むと , 水面スレスレにテントを張って , 焚き火をしている釣り師?仙人?に会った . 谷全体に , 焚き火の香りが広がり , 緊張感を和らげる . 仙人が放置していた釣り竿を跨ぐとすぐに , 白毛門沢出合い . ここから左折して , いよいよ , 標高差約 1,000 m の白毛門に突き上げる .

 


 

この沢の下流部は , ほとんどゴーロが無く , ナメと滝で構成されており , 楽しい遡行だ . 出合いから連続する小滝を , 丁寧に越えて行く . やがて現れる 10 m 滝は , 右の泥壁を , ロープを出して越える . 概して , この沢の岩質は脆くなく , ホールドもしっかりしているので , 安心感が有る .

 






 

間も無く , 20 m 大滝の「タラタラノセン」に到着 . 文献に記載の通り , 直登は難しそう , と思っていたら , 抜きつ抜かれつの男女 4 人組パーティが , 取り掛かっているではないか . しかし , フリーで取り付いた男性は , 本流半ばで耐えられなくなり , 約 5 m 下の釜にどぼん . もう一人の男性は , その様子を見たか見ていないのか , 左壁をリードで登り始めた . 見ちゃいられない . 忠告しようかとも思ったが , 余計なことだと思い返し , 我々はさっさと , 高巻き道に突入 . 結局 , 彼らも , 高巻いたみたいである . しかし , この「タラタラノセン」 , 何ともユニークな名前ではないか . どうやら , この辺りでは , 滝のことを「セン」と呼ぶらしい . では , 「タラタラ」とは , 水がタラタラと滴っているようなイメージを与えるが , 実際は , 水量豊富な立派な滝だ .

 

高巻き道は , 「タラタラノセン」のもう一つ上の滝の落ち口に下りる . すぐ目の前の , これもなかなか立派な滝を , 右側から巻き気味に越え , 有名?な 20 m 大ナメ滝を見上げる .

 


 

このナメ滝は , これまでのナメ滝より , 少々傾斜は強いが , 足場を選んで行けば , 特に支障は無いと感じた . 実は , これは , 自分だけの感触であった . 筆者と元釣り師さんで先行して , 問題無く攀じ登り , 落ち口の大岩の所で休憩していたが , 後続が一向に現れない . ちょっと心配になって , 滝の途中まで下りて行ったが , まだ見えない . 「これは , 何か有ったに違いない…」と , 心配が確信に変わりかけた頃 , 春の園さんが M 上さんのシュリンゲに引っ張られて上がって来た . どうやら , 下の方で滑って , ウォータースライダーしたらしい . 登り口の小釜で滑落が止まったようだ . どこも怪我は無くて良かった . さらに下の釜まで落ちなくて良かった .山の神様に感謝 .

 

滑った春の園さんは , 多少 , 気が動転していて , 落ち着きを取り戻すのに , 短い時間が必要だったが , 滑落の様子の一部始終を見ていたキャリーさんの方が , 顔が青?ざめていた…

 

日焼けしているので , よくわからん .

 

この件に関しては , リーダーの筆者に , 幾つか反省点が有る . 主な点は ,

 

( 1 ) 結果的にはロープは使わなかったかも知れないが , 登る前に , ロープ使用を協議する時間を設け

   なかったこと .

 

( 2 ) 自分の技量に関する判断だけで , かなり先行し , 滝を登り切ってしまったこと . 滝の途中で立ち

   止れる余裕が有ったのに , 後続を待たなかったこと .

 

( 3 ) 結局 , 救助 , およびフォロー行動が取れず , M 上さんやキャリーさんに任せ切りになったこと .

   など… , リーダーとしての配慮が足りなかった .

 

皆さん , ご免なさい .

 






 

さて , 大ナメ滝上の川原で , 気を取り戻した後 , 沢のはるか奥に聳え立つのが見える白毛門頂上を目指して出発 . この辺りから , 傾斜が急になる .

 

徐々に流れが細くなる沢を , グイグイつめ上げ , 高度を稼ぐ . 正面に二つの岩塔を見上げながら , いつの間にか , 沢は , 水流のほとんど無いスラブに変わった . わずかにスラブ上を滴り落ちる水は , 残暑で熱せられた岩盤によって温かい . スラブの傾斜は急だが , 登高は快適だ . 皆さん , 頑張れ . 頂上はもうすぐだ . スラブから石が重なった踏み跡になり , さらに藪をほんの少し漕ぐと , 白毛門山頂の左 5 m 地点の登山道に飛び出す .

 


 

山頂は , 静寂で開放的だった沢とは異なり , 登山者がひしめき合う雑踏であった . 笠ケ岳から朝日岳の稜線に目をやると , これまた , 団体の長い列が幾つか , こちらを目指して動いている . ここは人気の山なのだ .

 



 

小休止後 , 正面に一ノ倉沢の雪渓を見ながら , 下山開始 . 谷川岳の稜線は , ガスでよく見えない . 厳しい残暑の直射日光を受けて , 長い下りを行く . 大変暑い . 途中 , 松ノ木ノ頭と「タラタラノセン」観瀑点で思わずダウンしながら , かなり消耗して , ようやくパジェロに辿り着く . 過熱した身体は , 走行中のパジェロの窓を全開にして冷却し , 谷川温泉に直行 . 温泉もまた , 谷川岳周辺に行って来た登山客の雑踏であった . やれやれ .


 

ここのところ , 立て続けに , リーダーとして , 沢登りに出掛けているが , その都度 , 新たな失敗や反省点が生まれる . 山での失敗は , 生命に関わる可能性が有るので , 「失敗して学習する…」なんてことは言ってられないが , 少なくとも , 同じ失敗は繰り返さないようにしよう . 登山家として一人前ではないので , リーダーの資質としては程遠いが , やはり , 皆さんと山に行きたいので , 努力するしかない .

 

今後も , 皆さんからのご指導をお願いします .

 





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