97〜98.金精峠から温泉ヶ岳そして根名草山へ
      温泉ヶ岳 2332.9m   根名草山 2329.m 
期間:2003.9.20  天候:曇り後雨  単独行 地図:男体山・川俣温泉
コースタイム:金精峠トンネル入口P9:50−金精峠10:10−温泉ヶ岳分岐10:40−
温泉ヶ岳10:50-11:00−登山道11:10−念仏平避難小屋11:30−
根名草山12:10-12:25−念仏平避難小屋13:05−
金精峠トンネル入口P14:25
山行記録:日光の戦場ヶ原から西に目を向けると、金精峠を挟んで、先鋭的なピークを見せる金精山とは、対照的な丸くゆったリとした頂きを見せるのが温泉ヶ岳である。しかし近づくと荒々しく崩れつつある山肌は気の毒な程である。又、根名草山はこの温泉ヶ岳よりさらに尾根を辿った西に位置しているが、戦場ヶ原からはその姿は見る事は出来ない。この山は西の鬼怒沼湿原より見ると、左に大嵐山、右に根名草山をと、沼の向こうに見る事が出来る。それはまるで女性のバストの様に美しい姿である。
私は過去、それぞれの山に、一度づつ登ってはいたが、さしたる山行記録は残っていなかった。温泉ヶ岳へは2001年1月20日、宇都宮勤労者山の会のテント泊定例山行で新雪を踏み、山頂に立つ事が出来たが、安藤リーダーの指示に従い、地図さえ読む事なく、ただ後に従って登った感が強く、雪山の厳しさと楽しさのみを、記憶しているだけだった。根名草山へは1996年8月24日に妻と二人で登った。しかしこの当時の写真だけは残っているものの、コースタイム等の記録は一切なかった。
今日は土曜日、昼より雨の予報となっていた。昨夜も雨が降ったから、最低でも登山道のある根名草山だけでも登ろうと家を出た。既に7時半を廻っていたが、時間的には問題ない。宇都宮では既に雨が降り出していた。
ところが、日光が近づくと雨は全然降っておらず、戦場ヶ原からは温泉ヶ岳や周囲の山々も見渡せた。金精峠トンネル入口手前の駐車場へ車を停めた。
この金精峠手前の国道は、この春雪崩が発生し、今も仮設道路を使用していて、砂防と雪崩防止柵設置工事が急ピッチで施工中だった。
9時50分登り始めた。この登山道は昨年と今年、宇都宮勤労者山の会を中心に、県連等の協力を得て、登山道の整備をした懐かしい所だった。その時打ちつけた杭や板を渡したガレ場のトラバース道、さらには階段や梯子等を確認しつつ登り続け、20分後、金精峠へ到着した。先ずは金精神社へ拝礼し、西への登山道を辿った。
コメツガ等の樹林の中をつづら折りとなって登り、やがてガレ場の頭へ立った。
ここは展望が良く、振り返れば金精山が北面の笈吊岩を見せて聳え立ち、眼下には湯ノ湖に戦場ヶ原を見下ろし、その向こうには男体山から女峰山や太郎山の山々が鮮やかに姿を見せて来た。さらに登ると白根山も姿を現して来た。今日は雨中登山を覚悟して来ただけに、この景色を見られたなんてラッキーだった。
既に木々の葉も秋の色を帯び、黄や赤へと少しずつ変化し、ナナカマドの実も赤くなっていた。今日は是非共、温泉ヶ岳の登山口を確認して来ようと思っていた。
何せ雪の中を登っただけだったから、夏山シーズンの登山はどんな藪の中を辿って行く事なのかとの不安があった。唯、先人の登山記録によれば、金精峠より50分で山頂に立っていたから、あるいはとの期待を持って登って来た。今は雨の降り出す気配もなく、少々の藪ならば雨具を着ないでも登れそうな気がして来た。
峠より30分程登ると、樹林の中、左に30cm程の板に温泉ヶ岳登山口の標識が立っていた。みれば踏み跡もしっかり着いており、結構登っている人達も多い様だ。
これならば先に温泉ヶ岳を登ろうと、この踏み跡を辿って行った。樹林の中、腰程の笹の中に踏み跡が続き、前方には見覚えのあるピーク、温泉ヶ岳山頂に間違いない。
分岐点より10分、10時50分に温泉ヶ岳山頂に到着した。中央には三角点標石、西側の木には山名板がいくつも下げられていた。意外と楽に山頂に立てた。北方には切込湖、刈込湖が緑の水を湛え、その北には於呂倶羅山だ。その右には男体山から女峰山への日光の山々が続いていた。ザックを降ろし、記念の一枚を撮った。パンを食べ空を見上げると、雨雲が徐々に西より押し寄せ、これから辿ろうとしている根名草山は見えなくなっていた。
雨の降る前に出来るだけ先へ進みたい。山頂での休憩はそこそこにして10分後、北の切込湖、刈込湖を目で確認し、笹の中の踏み跡か獣道かわからない薄い踏み跡を辿って頂を下った。しかし、その踏み跡は直ぐに消えてしまったが、刈込湖は見える。笹を掴み、時にこれに足を滑らせながら下って行くと、下に登山道が見えて来た。左が急激に下がるので、寄りすぎない様に注意しつつ下って、10分後、大岩の地点で登山道に降りた。
後は登山道を辿るだけだから、例え雨が降っても根名草山ピストンは難しくない。振り返れば温泉ヶ岳が木々の葉を染め始めて聳えていた。
20分後、老朽化著しい念仏避難小屋に到着した。山の仲間達が苦労しつつ資材を持ち上げ、小屋の修理、階段や控え柱等を施工したのだった。
休む事なく歩き進み、根名草山を目指した。予定では小屋より1時間となっていた。
さしたるアップダウンもなかったが、木々の立ち枯れがやけに目についた。
後方には白根山が一際高く聳えていた。
樹林の中を進んで行くと、前方の樹間に根名草山が見え出し、その右には大嵐山が見えて来た。
12時10分、狭い山頂の根名草山に到着した。左は樹林となって展望はないが、北東にはこの春苦労して登った高薙山が意外に近く見出せた。少し位置を変えると、既に寂しい色に変わった鬼怒沼が見え、その先が鬼怒沼山。左に見えるのは尾瀬燧ケ岳だった。
パンを食べ、ポカリスェットで喉を潤し、15分後、山頂を下った。出来れば雨の降る前に下山したいからだ。
途中、少々のナラタケとスギヒラタケを収穫し、40分後、念仏避難小屋へ戻った。
残念ながら雨が降り出して来た。一番いやなのは笹の中のトラバース道だった。笹の葉はたちまち濡れて私を待っているし、滑り易い。車へは1時間半の予定タイムだったので雨具を着る事も面倒なので、傘をさして、そのまま歩き続けた。
しかしズボンもシャッツもたちまちずぶ濡れ状態となってしまった。
益々雨の量は増え、苦労しつつ下って、14時25分金精峠の駐車場に到着した。早々に着替えを済ませ、温泉目指して、エンジンをスタートさせた。
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