81〜82.梅雨の時は湿原のワタスゲが美しい・田代山と帝釈山 田代山1971m  帝釈山2959.6m
時期:2003・6・29    天候:小雨時々曇     地図:帝釈山・湯西川 
コースタイム:宇都宮5:50−猿倉登山口8:45−小田代9:25−田代山弘法小屋9:50−
       帝釈山10:50‐11:00−田代山11:50‐12:35−小田代12:50−
猿倉登山口13:20
記録:福島との県境に位置する田代山は、山頂部に湿原が広がる花園である。またその西の県境に聳える帝釈山は日本二百名山に選ばれている秀峰で、山頂は素晴らしい展望が待っている。
先週、日本一標高の高いと言われる高層湿原、鬼怒沼へ行ってきたが、梅雨の切れ間の素晴らしい快晴に恵まれた。高山の花、チングルマ、ヒメシャクナゲ、タテヤマリンドウ、ワタスゲ、ミズバショウ、さらにモウセンゴケ等を鑑賞出来た。展望も申し分がなく、大嵐山と根名草山、白根山に尾瀬の燧ケ岳と会津駒ケ岳等楽しい山頂の一時を過した。
今日の天気予報は小雨後晴れであった。これを大いに期待して田代山へ向かった。山王峠トンネルを抜けると会津側は曇り、湯ノ花温泉よりは小雨が降っていた。こんな天候にもかかわらず、猿倉登山口の駐車場はほぼ満車状態となっていた。やむなく適当な林道の路肩へ車を停めた。
8時45分歩き始めた。まもなく先行していた中高年の登山者の列を次々と追い越して行った。ここは昨夜も雨が降っていたらしく、登山道は泥んこ状態で、滑らない様に注意しつつ、登り進んだ。昨夜は元上司の送別会があったが、たちまちにしてその時のビールは、汗となってポタポタと地面に落ちた。
40分後、尾根道が平坦になって、やがて小田代湿原へ飛び出した。小雨の中に白いワタスゲが風に揺れていた。雨具を着るほどの状況ではないので、私は休まず歩き続けた。
15分後、田代山の広い湿原に到着した。ここには5人、6人と多くの人達が湿原の花々を楽しんでいた。既にチングルマの花は終わって、ワタスゲが特に多く、ヒメシャクナゲやモウセンゴケ、タテヤマリンドウ等が咲いていた。ニッコウキスゲの蕾は伸びていたが、咲き出すのは来週であろうか?小雨は降り休まず、展望はまるでなかった。私は花々の写真撮影は下山時にしようと思い、そのまま歩みを止めず、9時50分弘法避難小屋に到着した。さらに歩き続け、帝釈山へ向かった。やや下って、その後はダラダラしたほぼ平坦な道で、シラベやコメツガの樹林の中に続くドロンコ道であった。登山者の姿は全然見えなくなってしまった。さらに濡れたネマガリタケの中を進むので、濡れた葉に触れてズボンもシャッツもたちまち濡れてしまった。
帝釈山へは行きも帰りも、約1時間のコースタイムであったから、それほど苦になる距離ではない。
私が初めて、この田代山から帝釈山へ来たのは、もう20年も前の秋だった。紅葉の田代山と帝釈山を満喫した帰り道、キノコをどっさりと収穫出来た。天然のシイタケを取って大喜びをして家に持ち帰った。近所のキノコ博士に見て頂いたら、「これが毒キノコで有名なツキヨタケだよ」とその茎の部分を裂いて見せられた。それは夜光塗料が付いた様に光った。私が取って来たキノコの半分はそのツキヨタケであった。忘れる事の出来ない大失敗の思い出であった。
その後、田代山には4回、帝釈山にも4回登っていたから、登山道は良く判っているつもりであったが、どうにもドロンコの道は好きにはなれない。
樹林の中には白いヤマシダの花が可憐に咲いて、木の根元を彩っていた。山頂が近づくと、数は少ないが、シャクナゲが咲き誇っていた。
10時50分、帝釈山頂に到着した。先客が3グループ、12人が食事中であった。私は三角点に触れた後、写真を1枚撮った後、パンを一個口に入れた。一昨年の秋、台倉高山への登頂を諦め、馬坂峠よりこの頂きに40分で登った。その時は展望には恵まれ、日光の山々を始め、尾瀬、只見、会津、那須、塩原の山々を満喫した。特に登頂を断念した憧れの台倉高山は、辿って行く県境尾根も確認出来て嬉しかった。
今は一つの山さえ見る事は出来なかった。峠より20人程の団体さんが登って来て、山頂は狭くなって来た。これを潮時と、10分程で山頂を下った。
泥の道はさらに酷くなっていた。そんな中、田代山から次々と登山者が登ってきた。こんな日の木の根は特に滑り易い。注意しつつ歩いていたが、もう少しで田代山の避難小屋と思って、気が緩んでしまった訳ではなかったが、木の根に足を滑らせて転倒してしまった。その拍子に頭から下に落ちた。足は木の根に挟まれてしまったから、宙ぶらりんの逆さま状態、何とも無様な姿になっていた。幸い怪我はなく、人にも見られる事もなく、やれやれ一安心。
田代山に戻って、湿原の縁の木道に腰を下ろし、パンとおにぎりの昼食にした。
時々見える山、あれは荒海山であろうか、今一つ自信は持てなかった。
風に揺れるワタスゲにモウセンゴケを写真に撮りつつ、木道を下った。ウラジロヨウラクやサラサドウダンツツジの花が小雨に濡れていた。天候には恵まれない一日だったが、湿原の花達は霧に包まれていても、精一杯に美しく咲いていた。
次々と登山者が帰路に就いていた。私は湿原での花々の写真を満足行くまでに撮り終えたので、彼らの後に続いた。
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