48.秋雨の中を黒檜岳から大平山へ黒檜岳1976m大平山1959.6m   


期間:2002・10・26  天候:曇り後小雨  単独行 地図:中禅寺湖・男体山
コースタイム:宇都宮6:30−菖蒲ヶ浜7:50−千手ヶ浜9:00−黒檜岳10:50−
       11:00−大平山11:40−11:50−黒檜岳12:25−千手ヶ浜
       13:35−13:45−菖蒲ヶ浜15:00


山行記録:以前より気に掛かっていた山、それは中禅寺湖の南、社山と黒檜岳との中間に位置する大平山だった。西のシゲト山よりそのなだらかな山容を見るにつけ、その笹原に寝転び、この大平山を満喫したいと思っていた。足尾の松木沢より登った方が大平山の良さを感じる事が出来るだろうと思っていたが、先週日光の大真名子山から小真名子山を登った帰路、余りにも見事な紅葉の中禅寺湖畔を走り、もう一度これを眺めたいと、中禅寺湖畔の菖蒲ヶ浜より、大平山ピストン山行に変更し、実行に移した。
天気予報はあいにくの曇りのち雨、雨は12時頃より降り出すとの事だった。
天気予報が外れる事を祈りつつ予定通り自宅を出発した。
今年は栃木には例年になく、2度も台風が来て被害も多くなり、日光の第二いろは坂は路肩が陥没して、しばらく大型車両は通行止めとなっていたが、行楽シーズンの最盛期では、これも短縮せねばならず、急遽路肩を補強しての片側通行にして、工事を続けていた。そんな訳で菖蒲ヶ浜をスタートしたのは7時50分になっていた。
先週あんなに見事だったのに、中禅寺湖畔や竜頭ノ滝では既に終わりが近く、紅葉を落としてしまった木々も多い。
湖畔を歩き続け9時、千手ヶ浜に到着した。早くも雨雲が下がって来て、小雨が降り出して来た。12時頃からの降雨を予想していたのに、もう降り出してしまった空をうらめしく思いつつ、シラビソの大木の下で雨具を装着した。
千手堂跡を過ぎ、黒檜岳へと登り出した。落ち葉が登山道を埋め、小雨がこれを濡らし続けた。晩秋というよりは、初冬の風景となっていた。
尾根に達すると、一直線の急登が待っていた。気温が上がらない今日であっても、雨具を着ているだけに、たちまち汗が噴出し、ポタポタと地面に落ちた。
この道は過去5回以上歩いていたが、こんな見通しのない時はやはり不安な思いもあり、熊除けの鈴を鳴らして、黙々と登り続けこれに耐えた。
11時前、黒檜岳に到着した。標識がなければ、どこが山頂なのかわからない平坦な樹林の中、誰一人いない寂し過ぎる山頂だった。とにかくパンとコーヒーで休憩を取った。
コンパスをセットし、シゲト山から三俣山への登山道と分かれて左折し、中禅寺湖の南、社山への道へ踏み出した。
赤布等の案内があるものの、歩く人は少ないらしく、踏み跡は薄く、さらにこれを落ち葉が隠していた。見落とさない様神経を使った。
マップで確認した、大平山の分岐点を頭に描き、一歩一歩ゆっくりと歩き進んだ。
分岐点は道が南に大きく膨らんだ1854mピークである。
小雨はやむことなく降り続いた。視界のない今日は特にコンパスを確認し赤布等に目を配りつつの歩行であった。慎重に踏み跡や赤布等を確認しつつ進むものの、やはり迷い易い地点はあり、さらにそこへ踏み込む人も多いらしく、しっかりした踏み跡や、テープも木に括られている。
5分も進むと、踏み跡はぱったりと無くなって、誤りに気が付く。南に分岐する尾根が中々見出せない。雨は相変わらず降り続き、視界は悪く、まして藪を漕いでの山歩きでは、今日の大平山は中止して、後日を期すべきとの思いが強くなって来た。
元のしっかりした登山道に戻った。再度地図を読み、周囲を確認すると、落ち葉に覆われた踏み跡が、微かに見出せここより少し高い南の地点へと続いていた。これが社山への登山道であった。
私は帰る気持ちを抑え、この踏み跡を辿った。樹林が薄くなり、南に朧に尾根が見え、やがて1854mピーク付近に到着した。ここはどこがピークかわからない様な広いところであったが、社山への道が北へと大きくカーブしていた。
南の尾根には、鹿の一本の道が笹原の中に続いていたので、縦走路を離れ、これを辿って大平山を目指した。東側は急激に落ち込む地形となっているので、視界の悪い今日ではあるが、これを意識しつつ進めば迷う事もなさそうで、帰路の不安もなくなった。
尾根は樹木が疎らに立ち、笹原は私の腰までしかなく、視界の悪い中でもこれは救いであった。10分も進み登り返すと、松木沢よりの尾根が合流し、尾根は西へと向きをかえた。ここには先人達が残してくれた赤テープが木に巻かれていた。やはり大平山への登山者は、足尾側からが主流のようである。私も今度登る時は、晴れた日に松木沢より登ることにしよう。
少しのアップダウンを繰り返し、微かに踏み跡は続いていた。晴れていれば、松木沢の向こうに、備前楯山や中倉山、庚申山、鋸山、皇海山の山々を眺めつつ歩ける展望の尾根であろう。
今は冷たい雨が降り続く。尾根は笹原から、コメツガ、シラビソの樹林へと変化し、さらに登っていくと、霞みの中にピークが浮かんできた。
11時40分、三角点標石が中央に埋めら、意外と狭い大平山頂に到着した。木には2枚の山名板が下がっていた。悪天候の中、やっと辿りついた安堵感と、満足感が湧いて来た。一度は今日の登頂を断念しようと思っただけに、何も見えない山頂ではあったが、感激はやはり格別であった。
おにぎりと暖かいお茶を飲んだ。今日は誰も登って来ることも無いこの大平山頂、やはり寂しく、雨の中では体もすぐに冷えてしまった。僅か10分で下山した。
雨の中、視界は悪い。注意しつつ黒檜岳へ戻り、一息を入れた後、千手ヶ浜へ歩き続けた。中禅寺湖畔に降りると、2人の男性が湖一周コースへ向かうのとすれ違い、挨拶を交わした。
今日はじめて会ったハイカーだった。

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