55.新雪訓練・・・日光白根山     2577.6m


期間:2002・12・8      天候:曇り    地図:男体山
山行目的:新雪訓練メンバー:CL田村SL森腰 吉住.永富.平塚.増渕.粟野.鈴木隆
コースタイム:菅沼登山口6:40−弥陀カ池10:00−白根山頂11:45-12:00−弥陀ヶ池13:00−
      菅沼登山口14:25


山行記録:日本百名山に選ばれている白根山は、関東以北での最高峰である。
今日は山の会の定例山行、新雪訓練を兼ねた日光白根山である。圧倒的に単独行の多い私であったが、この新雪訓練の白根山はいつも山の会の仲間に入って参加していた。ましてこの冬は、10月より雪が降って例年以上に降雪量が多く、白根山では死亡遭難事故も発生していた。山の会としても、いつもの日光湯元温泉より、外山尾根を辿って前白根山から白根山へのコースでは、山頂直下の東斜面は雪崩の危険度は高いと予想される為、西の菅沼登山口より登り、座禅山を越え白根山頂ピストンとコースを変更し実施した。
既に先発隊は昨日より白根山に入っていた。私は登山口朝6時発に自信がないので、前夜に菅沼茶屋の駐車場に来て車中泊とした。ここに車を走らせて来るだけではもったいないので、前日に塩原温泉の奥、白倉山に登って栃木の山巡りを楽しんだ。星空が実に美しい夜、金精トンネルと菅沼茶屋の雪道を往復する若者たちの車がうるさかったが、いつしか眠ってしまった。
5時に起床し、おにぎりにパン、お茶の朝食を取り、冬山装備を整えた。6時出発予定の後発隊は田村リーダーの下、男5人、女3人の8人パーティであった。
6時40分、森腰サブリーダーを先頭に菅沼よりの夏山コースをスタートした。積雪は50cm程あったが、先発隊のトレースが残っていて、登山道をそれる事もなさそうであった。林道
を歩いた後、山へ取り付いた。しかし、パーティの足並みは揃わず、二つに分かれてしまった。私は3番目を歩いていたが、時々立ち止まり、後続を待ち、そして又歩き出す。こんな繰り返しであったので、ペースは順調とは程遠いものであった。
座禅山の中腹は積雪がさらに増え、1m程になっていた。雪が木々の枝を曲げて行く手を塞ぐ。時々襟の中に木の枝の雪が落ちてきて、ヒヤッとする。途中より私が先頭にたった。
9時に下山してきた先発隊と出会った。安藤リーダー以下男7人パーティだった。とにかく元気で口も滑らかだった。下りは1時間で登山口に着くだろうから、温泉が待っているだけ、元気も当たり前か。雪崩が心配だった、座禅沢のトラバースは全然心配ないとの事なので、弥陀ヶ池へは夏山コースを辿る事とした。もう一つの気掛かり、白根山頂直下はアイゼンをきかせれば、懸垂下降の必要もないとのアドバイスを受け別かれた。今日中の山頂ピストンにしてはペースが遅いとも言われたが、12時には山頂に立てれば問題はないので、少しペースをアップしようと思った。
樹林が少し開けると、金精山の鋭鋒と、その奥にはどっしりした温泉ヶ岳を望見出来た.座禅沢のトラバースにはロープも張られて、雪崩の心配もなく歩き進んで10時弥陀ヶ池に到着した。一面が真っ白な雪原で、一本のトレースがやや南の辺に残り、その先に初めて白根山頂がゴツゴツした岩肌に白い雪をまとって、その全容を見せていた。
私たちはザックを降ろし、互いに写真を撮りあい、後続組の到着を待った。パンを食べお湯を飲んだが、風に当たるとすぐ体が冷え、体温を奪われて行く。やがて後続組も到着。
いよいよ白根本山への登山開始である。座禅山とのコル、ここへは丸沼高原よりスキーゴンドラを利用しての夏山コースが出来て、シーズンには混雑へ変化したが、今は全てが雪の下となっていた。雪の溜まり場ともなっていたので、昨日辿った先発隊のトレースは全て消えていた。1mの積雪地点もあったので、先頭の私は左右に視線を走らせ、赤布や僅かなトレース等でコースを良く確認しつつ登って行った。大方の方向はわかっていても、中々厳しい登りであったが、どうにかこれを登り切った。
雪は15cmと少なくなったが、今度は風が強く冷たい。振り返れば純白な双耳峰の燧ケ岳が美しく望めた。ここより平塚さんとトップを交代した。山頂までのほぼ中間地点であろう。山頂より2人の男性が降りて来た。私達は彼等のトレースを辿れて、今までよりは楽にはなったが、風はさらに強まり寒くなって来た。山頂と思っていたが、実は一つ手前のピークのガレ場、今は雪の吹き溜まりとなっていた岩と岩に囲まれた急登。雪崩が気になる地点で、下山時に懸垂下降を考慮していた。ここが本日の最大の難所でもあった。時々赤布を見失いつつもアイゼンを利かせ、ピッケルを突き立てて、少しずつ登って行く。
私達4人の先行グループだったが、後方グループは下方で腰を下ろして休んでいて、登りそうには見えなかった。時間的にも登頂は難しい気がした。
やっと難所を抜けた。山頂はここではなく、さらにその先に標識が立っているピークであった。さらにその先のピークには、見覚えのある社が雪に埋もれていた。
20m程下って、再度登り返し、11時45分白根山頂に立つことが出来た。風はさらに強く冷たい。曇り空の下、互いに握手を交わし、シャッターを押しあった。周囲の山はガスが覆い隠していたが、時々風がこれを除いてくれた。南に錫ヶ岳、東に男体山、白根隠山。北の前白根山、五色山、太郎山から大真名子山、女峰山だけが姿を現してくれたが、他の山は全て隠れていた。風を避け、軽くパン等を食べた後、15分で山頂を降りた。
北のピークを下り始めたら、永富君が一人登って来た。見ればアイゼンも履いていない。持参していたのにこれを使用しないとは・・・。皆が下るなら自分も降りるとのこと、せっかくここまで登ったのだから、せめてここのピークから白根山頂を自分の目で確認してくる様勧めて、私達はここで待つことにした。
やがて下ってくる彼の姿を確認し、全員で下り始めた。平塚さんが快調に下って行く。弥陀ヶ池には田村リーダー他2人が休んでいるのを見下ろせた。
登りより下りの方が危険度は高い難所なので、これを慎重に下り切った。後はトレースを辿り、時には尻セードを楽しんで下り続け、13時弥陀ヶ池に到着し休憩とした。
ここからは樹林帯のトレースを辿って下るだけである。平塚さんを先頭に歩き続け、14時25分菅沼茶屋に到着、無事白根山での新雪訓練登山を終了した。
私は帰路のガソリンが気掛かりだったので、山の仲間達に訳を言い、お礼の挨拶をして1人お先にと車を発進させた。

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