61.早や春の日差し・仙人ヶ岳    662.9m


期間:2003・2・2    天候:晴れ  単独行  地図:番場.足利北部
コースタイム:仙人ヶ岳・岩切登山口9:10−岩切不動尊9:35−熊ノ分岐10:05−
仙人ヶ岳10:20−10:40−熊ノ分岐10:50−犬返し11:25−
428mピーク12:00−12:05―猪子峠12:20−岩切登山口12:40
       赤雪山・長石林道峠13:05−赤雪山13:40−13:50−峠14:25


山行記録:先週、足利北部の深高山と石尊山を猪子峠よりピストン登山した。その時、自分が登ったそれぞれの山をカメラに撮れず、逆に北隣の仙人ヶ岳を良く撮影出来た。ならば来週は仙人ヶ岳を登って、深高山と石尊山を撮影しようと、考えての今日の山行となった。
仙人ヶ岳は関東百名山にも選ばれている山で、私も過去2回登っていたが、当時の写真はあるものの、それ以外にコースタイム等の記録はなく、気になっていた山の一つであった。
自宅を7時半出発、猪子トンネルを抜け、岩切不動尊入り口の広い路肩に駐車し、9時10分歩き出した。5人パーティの歩く後ろ姿が見えた。沢沿いには、柚子の実が朝日をうけていた。
霜柱が押し上げた落ち葉を踏みしめ、ザクザクと音を立てて歩いた。
この辺は、かつて何の鉱物が掘り出されたのだろうか?沢に面して口を開けた鉱山と見られる穴が三ヶ所も見えた。30分足らずで、岩切不動尊に到着し、拝礼の後に休憩とした。セーターを着ていたが、やはり暑すぎる。吹き出た汗を拭い、セーターを脱いだ。
さらに登り、先行グループを追い越し、最初は高いと思っていた稜線の先に、いつしか青空が見えるようになった。ここは急登となっていて、ロープが下がっていた。程なくして稜線の熊ノ分岐に到着した。
ここから仙人ヶ岳へは快適な稜線の道である。背後に深高山から石尊山の山なみ、右手前には赤雪山が望めた。小さなピークを二つ、三つと越えて行った。
10時20分、仙人ヶ岳山頂に到着した。大きな山名板が立てられ、中央には三角点標石が埋められていたが、角が崩れて痛々しい限りであった。今日は未だ誰もここに登っていないらしく、静か過ぎる頂きである。腰を下ろし、パンを一個食べた。北方には野峰、丸岩岳、根本山を前景にして日光男体山や白根山から錫ヶ岳、皇海山、袈裟丸山への白い山なみが続き、さらに上州赤城山も真っ白な姿を見せていた。南に先週の深高山と石尊山、さらには行道山と大岩山。その先に足利市街と渡良瀬川が霞んで見えた。
やがて、4人パーティが到着し山頂は賑やかになった。潮時と思い、私は山頂を後にした。
少し降りると、追い越してきた後続組とすれ違う。10分後、熊ノ分岐に到着し、私は登りと違って、直進する稜線の道を辿った。良く踏み込まれ道で、さしたるアップダウンもない。左手には松田川の向こうに赤雪山が大きくなり、さらに進むと、青い水を湛えた松田湖を見下ろすことが出来た。
やがて着いた犬返しの岩場、予想通りの好展望台であった。目の前には深高山から石尊山、その向こうは行道山から大岩山、振り返れば仙人ヶ岳の山頂が遠くなって聳えていた。カメラを向け、これらの山々を次々と写していった。
岩切不動尊のコースは沢を詰めるコースで展望もなく岩場もない。ここをピストン登山するだけでは、仙人ヶ岳の本当の良さを知ることは出来ないと思う。この犬返しの鎖場を下り、さらにすすむピークのアップダウンにこそ、先人達が修行した、仙人ヶ岳のその名の由来が有りそうに思えるからだ。
松田湖を真下に見下ろすと、その向こうに聳える赤雪山がさらに鋭い峰となってくる。今日あの峰に立ちたいと、つい欲が出てきた。今からなら、猪子峠へ下り、13時には車に戻れそうだ。赤雪山は以前も登っているので、2時間もあれば充分往復可能だ。
最後のピーク428mにて一休み。風も無いピークには春を思わせる暖かい光が届き、心地よい。眼下に松田湖、送電線は赤雪山の肩から、深高山の肩へと続いていた。民家や道行く車もはっきり見え、これを眺めてのおにぎりの味は格別であった。以前来た時は山火事の跡も痛々しく、黒焦げの木や株が目についたが、今はそれもよく見なければわからなくなっていた。猪子峠を下り、12時40分車に戻り、次の赤雪山へと向かった。
松田湖近くより長石林道に入る。ここには湧水を汲む人達が列を作っていた。さらに登ると、残雪が路面一杯にアイスバーンになっていた。下りが不安ではあったが、そのまま峠まで走って駐車した。
戦国の悲しい物語を秘めたこの赤雪山、今は誰も登っていない。静寂そのものであった。以前来た時より、この道も踏み込まれてしっかりした登山道となっていた。さらに送電線の鉄塔下を行き、次のピーク、ここにも以前なかった電波塔がたっていた。赤雪山頂が望見でき、どうやら人影らしいものも見えた。
途中松田湖よりのハイキングコースが合流してきた。これもダム建設による周辺整備の一環であろうか?山頂には13時40分到着した。歩き出して35分だった。東屋風の休憩所がたっていて、これも以前なかったものであった。しかし、中央に埋まった三角点標石も、脇に立つ山名板も、以前のままだったのは懐かしい。
この赤雪山から仙人ヶ岳へと続く稜線が良く見えた。つい先ほど辿ってきた、仙人ヶ岳から猪子峠への稜線は、既に西日を受けていて眩しい。次回はこの松田湖を起点にして、この稜線を縦走しようと思った。きっと楽しい山行になると思いつつ、赤雪山頂を下った。

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