46〜47.秋雨煙る・大真名子山から小真名子山  


大真名子山2375.4m  小真名子山2322.9m
期間:2002・10・20    天候:小雨  単独行  地図:男体山・日光北部
コースタイム:志津乗越7:40−大真名子山9:50-10:00−鷹ノ巣10:30−小真名子山
       11:05-11:10−富士見峠11:35−馬立12:20−志津乗越13:25


山行記録:男体山の西に位置する大真名子山そして小真名子山、これらの山を最初に登ったのはかれこれ40年も昔、高校3年生の夏休みの8月末だった。同級生3人で日光駅から歩いて、赤薙山へ登り、途中登山道に幕営し、翌日女峰山から小真名子山、大真名子山を縦走して、志津小屋泊。翌日男体山を登って中禅寺湖へ降りた。遠い思い出であるが、つい昨日のように懐かしく思い出すことが出来る。
その後、山の会のクリーンハイクの時にも、この二つのピークを登った。さらに、今年5月11日に、大真名子山、小真名子山への縦走を試みた。しかし大真名子山より鷹ノ巣へ下る登山道は、残雪に覆われ、木の枝が雪に押しつぶされて、登山道が判らなくなってしまった。安易に以前歩いた登山道であり、赤布も標識もあるだろうと思っても、地図を家に置き忘れてしまっては無謀な登山になってしまう。自分を悔いてもこんな時は無理はならず、大真名子山頂に戻り、さらに元の道を志津乗越へ戻った。無計画、無謀登山を自分自身に戒めた日でもあった。
今日の天気予報は昼より雨であった。しかしこの時期、奥日光の紅葉は素晴らしいので、雨など気にせず5月に失敗したこの大真名子山、小真名子山縦走を実行した。
標高1785mの志津乗越に到着。既に小雨が降り出し、天気予報よりも早い雨降りに恨めしく空を見上げつつ、雨具を着て7時40分歩き出した。
視界は30m程、過去に歩いたことのある道であったが、注意し良く方向を確認しつつ登り進んだ。最初はゆったりとした登りがカラマツ林の中に続き、その中にいかめしい顔をした八海神像が立っていて驚かされる。
良く日光家族といわれる日光連山。父親の男体山に母親の女峰山、子供が太郎山に大真名子山そして小真名子山とか。何とも出来すぎた山の名前である。
大真名子山は山容が大きく、山頂部をキリリと絞り込んだ姿は遠くから見てもそれと判る美形で、雪化粧した時は特に美しく眺められた。
やがて道はコメツガやシラビソの原生林の中をつづら折りに急登して行く。これに耐えるとやや緩い勾配に変化し、一息を入れた。
今日の天候では誰も登ってくる人も無く、私のザックに着けた鈴の音だけが樹林の中へ響き入るだけであった。小雨は相変わらず降り続いていたが、その量を増すこともなく、風も強まることは無かった。ただ秋の雨はやはり冷たい。登り続けていれば汗がポタポタと流れ落ちているが、少しの休憩でも、すぐに体温を奪われてしまう。ついつい体を休めず、登るペースも速くなってしまった。
霧の中に三笠神像が現れ、やがて千鳥返しの鎖場である。鉄の梯子を登りきれば、山頂は近い。古い鉄の鎖や梯子は私が高校生の時のまま、もう40年も昔と変わりはなかったが、今は新しい鎖や梯子も取り付けられていた。これを使って、大きな岩の上に立った。
後はゆっくり歩いて9時50分大真名子山頂に到着した。
山頂の中央には社が奉られ、2375.4mの三角点標石が埋められていた。その奥には、まるで聖徳太子のような衣冠束帯姿の蔵王権現が立っていた。
昼食には時間も早い。山頂には小雨が降り続き、風も強まり出して来た。結構冷えて、寒い。やはり長居は無用である。
記念写真を撮った後、お湯を一口飲み、飴を一個口へ入れて、早々に小真名子山を目指して、山頂を下った。
道は樹林の中へと下った後、薙ぎの上辺を行き、北へ北へと下って行く。5月に来た時には、残雪の中をあっちこっちと道を捜したが、今一つ自信が持てず、結局は縦走を断念した地点に来た。今、道は明瞭になっていたが、あの時私が想定していた方向よりも道は真北へと一気に下っていた。小雨の中、道は大きくえぐられたように荒れた道である。今年は例年になく2回も台風が上陸し内陸部を北上した。この荒れ方はその時の爪あとでもあろう。
コメツガ、シラビソ等の原生林の中を下り続け、30分後、平坦な草地の鷹ノ巣、2110mに到着した。ここが小真名子山との鞍部であった。
いよいよ小真名子山への登りへと変化する。標高差は213mで、苦になる程ではないと、ゆっくりと登り始めた。小雨は相変わらず降り続いたが、樹林の中なので余り気にはならなかった。
11時5分、小さな社が祭られた小真名子山頂に到着した。鷹ノ巣からは35分の行程であった。ここにも真新しい山名標識が立てられていた。おにぎりを一個頬張り、お茶を飲んだ。展望もない今、記念写真をただ撮っただけで、早々にこの山頂も下った。
直ぐに反射塔の下に出た。晴れていれば展望を楽しめる地点であった。そのまま歩きつづけると、ガレ場に達した。雨が踏み跡を消し、ガスが標識を隠す。注意しつつ下ったが、つい歩き易い所を下ってしまう。
気が付けば、尾根の方向よりも北側のガレ場を下り続けていた。やむなくガレ場をトラバースし、コメツガ等の樹林帯を無理やり横切って、本来の道に戻った。
このガレ場は特に落石の危険地帯でもあった。雨で緩んだ地面となってさらに危険度が増していた。注意しつつ一気に下り続けて、15分後富士見峠に到着した。
ザックを降ろし休憩する。気が付けばザックカバーがなくなっていた。どうやら樹林帯をトラバースした時、木の枝に引っ掛けて無くしたようだ。いまさら小真名子山への再登をする気力も失せ、これをあきらめた。
馬立へと、荒れた林道を歩き続ける。この道は今年の8月末、女峰山から帝釈山を経由して下った時にも歩いたが、あの時の展望はない。周囲は素晴らしい錦秋の世界となっていたが、これを雨が叩き続けていた。なんとも痛ましいような風景であり、1時間をただ惰性で歩き続けた。馬立に着いたものの、休むことなくさらに林道を歩き続け、13時25分、志津乗越に戻った。急ぎ濡れた衣服を着替え、温泉を目指して車をスタートさせた。
戦場ヶ原から竜頭ノ滝、そして中禅寺湖畔と素晴らしい紅葉を眺めることが出来、これをカメラに納めた。冷たい雨はやむことなく降り続いたのは、何とも残念でならなかった。

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