5〜6.錦秋の尾根は大展望の旅・流石山〜大倉山〜三倉山


                流石山 1812.5m 大倉山 1885m
期間:2001.10.14  天候:快晴  地図:那須岳
メンバー:CL鈴木隆 鈴木カツ子
コースタイム:駐車場8:10−林道終点8:30−大峠9:00-9:10−流石山10:00-10:10―大倉山10:50-11:00―三倉山11:35-12:00−大倉山12:25−流石山13:10-13:15−
大峠13:55-14:15−林道終点14:40−駐車場15:00


山行記録:冬の晴れた日、那須方面を望むと、噴煙を上げる茶臼岳の西に真白い山並みが連なって美しく眺められる。ここは裏日本の季節風が会津盆地から吹きつけ、大量の積雪が山肌を覆い尽くす、県内でも有数の積雪地帯であった。そして、風も強く吹き付けて来るから、稜線には大きな木々は育たず、笹の斜面となっていた。
10月半ばの日曜日、妻と二人で冬には真っ白な山並に変化する、この那須流石山から大倉山、三倉山へ登ろうと、6時過ぎ自宅を出た。
今回は会津側より登ろうと、山王峠トンネルを抜け、下郷より東に向かい、観音沼の先の駐車場へ乗り入れた。以前に来た時は林道終点まで入れたが、台風被害にあって、林道は荒れ、さらに駐車場も整備されて、ここより歩き出さねばならない。
紅葉が山から下りて来て、快晴の今日は絶好の登山日和であった。ここから見える流石山から大倉山は北斜面で、緑を赤黄の紅葉が彩っていて、美しい山容となっていた。
登山客も多く、駐車場は満車状態となっていた。さらに数人の登山者が林道を辿っている姿も見えた。
8時過ぎ、私達も歩き出した。後ろから軽トラックが荷台に登山者を乗せて走って来た。ゲートを開けて走れるのは地元民宿の車であろう。
林道終点を過ぎると、登山道らしい道に変化する。ここは五十里が葛老山の山崩れにより、男鹿川が堰き止められて、会津西街道が通行出来なくなった時、会津藩が開いた黒磯へ続く街道であったが、明治以降は衰退して、今は当時の面影を僅かに留める石畳の道と、立て札がなければ見過ごしてしまう一里塚位であろうか。しかし紅葉はこの辺が最も美しく、私達を楽しませてくれた。
やがて三本槍岳が頭上を圧倒し、流石山とに挟まれた大峠に9時到着した。先ずは峠に寂しく立っているお地蔵様に拝礼し、ザックを降ろして休憩する。
流石山への急登を開始する。この流石山は栃木県では数少ないお花畑を持つ山である。私はこの山では、ニッコウキスゲとハクサンフウロが山肌一面に咲いた時が大好きである。またこの南にある井戸沢は沢登りの入門コースで、美しい滝が連続する沢だった。
今日は既にキスゲは棒の様な姿となり、紅葉は盛りを過ぎてしまっていた。そんな中、咲き遅れのウメバチソウが僅かに咲いていた。
この流石山は遮るものとてない展望抜群の山であるから、登るにつれてその展望、特に東から南へかけての展望が素晴らしい。最高点の三本槍岳から朝日岳、剣ヶ峰そして、白い煙を僅かになびかせた茶臼岳へと東側の展望が広がり、那須野ヶ原の先に広がる田園地帯は、黄金色となって美しく眺められた。
1時間弱で、大峠山の次のピーク、流石山頂に到達した。ハイカーはこの流石山迄の人達がほとんどで、この山頂には6人が休んでいた。
私達は、一番奥の三倉山までのピストン登山であったから、山頂での記念写真を撮ったりしての僅か10分の小憩で、次の大倉山を目指した。
サラサドウダンツツジの葉は染まり、笹の緑とのコントラストが美しい。やがて井戸沢の源頭である。私がここで初めて沢登りを楽しんだ時からでは、既に8年も過ぎてしまったが、昨日の様に懐かしく思い出せた。
稜線を歩く私達に心地良い風が吹き付け、北の阿賀川に沿って、会津の町や田園地帯を見下ろしつつ歩き進んだ。
きついアップダウンはなく、大倉山の大きくボリュームあるその山容がどんどん近づいて来た。今日の妻は至って元気で、眼下に広がる展望や、山肌を彩っている紅葉に感嘆の声を上げ、喜々として歩き続けた。
登山道を離れ、笹原に腰を降ろして食事中の夫婦連れが2組。ここには団体ハイカーは見当たらず、ゆったりと大自然と対話出来る素晴らしい山だった。
僅かに紅葉を写した小さな沼が現れた。五葉の泉だった。ここはモリアオガエルの生息地との事だが、その姿は見出せなかった。
緩やかな登りを進んで行くと、10時50分大倉山頂に到着した。ここはシャクナゲ等の潅木に囲まれていて、2名の先客が休んでいた。立派な山名板が立っていて、これをバックに記念の1枚を撮った。
ここまで来ると、最奥の三倉山は近い。山裾の紅葉は特に素晴らしく、いままでの山と違って、鋭い三角錐となって聳えていた。
道はどんどんと下って行く。大倉山までの道と違って、訪れる人も少ないらしく、踏み跡もやや寂しい感じである。
やがて少し登り返すと、1854mの三角点標石があった。ここが三ノ倉で栃木と福島の県境であった。そして県境尾根は西へと伸びて行き、目を向ければ緩やかな笹とハイ松の気持ち良さそうな尾根で、その先に見えるのは男鹿岳であった。さらに大佐飛山や日留賀岳も望見する事が出来た。
三倉山頂は完全に福島県内に位置している山である。踏み跡を一度下ってから登り返すピークだった。今日は誰一人の人影も見えない。
ゆっくりと登って行き、11時35分三倉山頂に到着した。遮るものは何もない草原のピークで、素晴らしい大展望台となっていた。
腰を降ろし、パンとジュースを口へ運びながら、今まで辿って来た大峠から流石山、大倉山、そして三倉山へのゆったりした稜線を、充実した達成感と共に眺める事が出来た。
遠くなってもやはり三本槍岳の眺めは素晴らしく、さらに旭岳(赤崩山)が険しく厳しい姿を見せていた。私は未だ三本槍岳から二岐山へかけての、北側の尾根へは足を踏み込んでいなかったので、是非訪れてみたいと思っている山域だ。
阿賀川の流れと田園地帯の広がりも手に取る様に眺める事が出来た。素晴らしい展望と紅葉に名残は尽きないが、セルフタイマーでの記念写真を撮った後、帰路についた。
久し振りに、妻と二人だけの山行だったが、天候に恵まれ、展望も紅葉も素晴らしく、楽しい山歩きが出来た。そして最後は湯の上の温泉に浸かって、汗と疲れをとった後、宇都宮へ帰る事が出来た。

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