30.藪を抜ければそこは楽園・持丸山   1365.5m


期間:2002・4・27   天候:快晴  単独行  地図:五十里湖
コースタイム:林道終点8:30−鉄塔下10:05−1312mピーク10:50−持丸山11:20−11:40−林道終点13:30


山行記録:4月初め、日向倉山に登った時、南に残雪を留めた持丸山を望見し、素晴らしい山容を見て感激した。早いうちに是非登りたいと思って、帰り道、上坪集落より南に入る林道を少し走って、この林道が持丸山登山口へ通じる林道であることを確認していた。
既に4月も末になってしまった今日、残雪は少なく厳しい藪漕ぎを強いられるだろうと思っても、急な北斜面を持つ持丸山は大変魅力的で、是非登ろうとの思いはさらに強く、今日の山行であった。
林道の終点には、一台のワゴン車が停まっていて、中年の男女6人が山菜採りに夢中となっていた。私はその隣に駐車し、一人身支度を始めた。この林道へは、以前南の湯西川、一つ石集落から横瀬山を越え、沢沿いに下ってここに達した道があって、地図にも記されていた。
私は沢を渡り、右岸をつずら折りに登る、東電の送電線鉄塔巡視路を辿って登って行った。標高1050mm地点へは約30分で到着した。足元には緑葉の中、淡いピンクの花も気高くイワウチワが美しい。これに向け、何枚もシャッターを切った。
さらに登り、尾根に取り付いた。そして藪の中へと突入していった。正に、背丈を越えた藪との戦いである。右手は谷であり、その向こうには持丸山が見え、三っ目のピークがその山頂であった。尾根を意識しつつ、方向には特に注意しなければならない。救いは高い方へ、高い方へと目指して登ればいいことだった。時には倒木に乗って、方向を確認し、そして又藪へ突入して行く。
1312mピークが近づくと、藪もややその丈を低くしてきた。だがここは広く丸い地点の藪の中だった。東への稜線が見えてきた。この地点の立ち木に赤テープを巻いて、帰りの目印にし、下山の方向を目に焼き付けて、一息を入れた。鉄塔より約1時間だった。
西へと30m程緩やかに下って行く。さらに30m程の登り返しと変化してくるが、今までの藪とは違って、笹の丈は膝までと低くなって、さらには薄い踏み跡も山頂へと続いていた。鞍部よりは、南方が開け、湯西川の谷越えに明神ヶ岳が残雪を留めていた。さらにその先には日光の山々を望見出来た。やっといつもの快適な、稜線の道が待っていたのだ。
快晴の今日、持丸山頂での下山タイムリミットを12時とすれば、余裕を持って下山出来るだろうと思えた。
緩い登りを登り切ると、稜線には時々残雪も現れる。私はその中央を歩き進んだ。20m程のアップダウンを繰り返し、三つ目のピーク、それが持丸山頂のはずである。
薄い踏み跡や、赤テープを確認しつつ進んで行った。藪は腰より低く、全然苦にならない。
さらに進むと、地肌を見せた平地の真中に三角点標石がしっかりと顔を出していた。周囲を見回しても山名板は見当たらない。でも間違いなくここが持丸山の頂きであった。
私はボールペンで紙に持丸山と今日の月日を記して、記念の写真を撮った。南は相変わらずの、素晴らしい展望が広がっていた。ここは楽園にふさわしい眺めと暖かさだった。
ブドウパンを取り出し、カップヌードルと共にこれを味わった。誰もいない持丸山頂には、太陽の光が届き、20分はあっという間に過ぎていた。   
11時40分、山頂を下った。帰路の稜線歩きは快調そのものだった。1312mピークへの登りだけはやはり気を使った。ここに自分で付けた赤テープを確認し、コンパスをセットして、藪の中へと突入して行った。
藪の中では特に下りの方が要注意である。尾根を意識的に辿って、西の谷へ寄り過ぎないよう気を引き締めつつ下っていった。
背を越す藪の中は、滑り易く、時々しりもちをついてしまった。しかし良く見ると、こんな藪の中にも、遅咲きのカタクリの花が咲いていた。特に紫の色が濃く可憐で美しい花だった。ザックよりカメラを取り出し、シャッターを押した。
東寄りに、山腹をトラバース気味に鉄塔の巡視路が続いていた。私は登って来た時よりも、意識的にやや東を一気に下って、ここに到達して、やっと藪から開放された。
後は迷う心配はなくなった。途中の鉄塔の下で休憩する。
ここでは、大きなタラノ芽を採る余裕も出てきた。これが家への嬉しいおみやげであった。
林道終点の愛車に戻ったのは13時30分、2時間弱で下山出来たのはラッキーだった。

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