37.那須の信仰の山・南月山  1775.8m


期間:2002.6.29  天候:晴れ  単独行  地図:那須岳
コースタイム:沼原湿原8:00−白笹山9:00-9:15−南月山9:45-10:05−
黒尾谷岳10:35-11:00−南月山11:45-11:50−日の出平12:10-12:40
−沼原湿原13:30-13:50−沼原湿原P14:00


山行記録:那須の山の中で、特に信仰の厚い山と言えば南月山だろう。麓の黒磯から見上げると、噴煙を上げる茶臼岳の手前に左右に白笹山と黒尾谷岳を従えるかの様にした南月山を確認出来る。
先週は尾瀬ヶ原の花と会津高清水のヒメサユリの花鑑賞ハイキングだった。そして今日は久し振りに那須へ出かけた。沼原湿原のニッコウキスゲが咲き出した事をニュースで知ったので、ここを基点に那須5山のうち3山の欲張った登山計画を立て、6時過ぎ自宅を出発。
到着した沼原の駐車場は未だ時間も早く、車は数台しかないが、テント泊の山男達が朝の食事中だった。
8時歩き始めた。車道を少し歩いた後、指導標に従い右折し、樹林帯へ入って行った。
梅雨の真只中の今日、空は曇っているものの、降雨の心配はなさそうだったが、周囲の山々は全て霧に隠されていた。
那須の山へは何回も登っているものの、この沼原より登った事はなく、那須5山でも南に位置している白笹山や黒尾谷岳へは未だその頂きへ立っていない私だった。
道は東へ向かってどんどんトラバース気味に伸びていた。横切る沢は水量も多い。
ウグイスの声を聞きながら道を辿って行ったが、私はどんな山へ登っているのやら全然わからない状態で、今一つ気分も乗らない。今日は私の他に登る人もなく寂しい山中だった。
やがて道は高度を上げ、つづら折りに登って行く。時々北側のガスが切れて、見出せる山、あれは沼原湿原の北に聳える西ボッチか鬼ヶ面山であろうか?
周囲の木々の背丈が低くなって来たが、どの位で山頂へ到達出来るのだろうか、下り1時間とコースタイムの記入があったが、登りは多分1時間30分程度であろう、と思いつつ一気に登って行くと、尾根のコブの様な場所が裸地になっていて、そこには黒羽山の会が設置した、山名標識が立っていた。とても頂とは思えない所の白笹山頂だった。
時計は9時、歩き出してジャスト1時間だった。平野部より快晴の時見ると、白笹山は一気に立ち上がるその美しい姿を眺める事が出来るが、その頂きは意外な感じだった。ザックを降ろし、休憩する。低木に囲まれた山頂は何も見えず残念だった。
ガスが切れてきた。15分後、ここより北東へ伸びる尾根を辿って、南月山を目指した。
前方の鞍部は約80m程下り、そして登って行く南月山は高く聳え、東にはスッキリとしたピークの黒尾谷岳が見えた。さらに登り進む尾根道、これは快適そのもので展望は素晴らしく、今までの何も見えなかった登りとは天と地の違いだった。
白笹山より30分で南月山に到着した。古い石の祠や石碑が奉られた信仰厚い山頂で、その信仰の歴史さえ感じられ、趣深いものだった。出羽三山の一つ、月山を地元の人達がこの山頂にて信仰したのであろう。
北に白煙をなびかせた茶臼岳、さらに西に三本槍岳から流石山、大倉山に三倉山。振り返れば今まで辿って来た白笹山が間近く、さらにこれから行く黒尾谷岳は一旦下った後、登る尾根も明瞭となっていた。今は先客がわずか一人だけの静かな山頂だった。
休憩の後、黒尾谷岳を目指し、東へと山頂を降りた。100m程下って、向きを真南に変え、さらに150m近く一気に下る。東側は切れ落ちていて要注意であるが、道はしっかりしていた。男性が一人黒尾谷岳より降りて来て、挨拶を交わした。
南月山より30分後、黒尾谷岳山頂に到着した。山頂にはサラサドウダンツツジの紅花が咲いていたが、2〜3mのツツジやナナカマド等に囲まれて展望はない。中央には黒羽山の会が立てた山名板があるだけの余り感激のない山頂だった。おにぎりを一個食べた後、再び南月山へ戻った。
山頂には中年の女性達が10人近く、誰も叶わない大きな笑い声を響かせていた。私はとてもこの山頂で休む気にならず、わずか一枚の写真を撮って、日の出平へ向かった。
日の出平よりは茶臼岳が益々鮮明に、その白煙を吹き上げ、山頂の登山者も良く見えた。ここでザックを降ろし、のんびりと昼食を取った。日の出平では休む人も少なく、静かなランチタイムとなった。
30分後、ほとんど平らな道を西南へと歩き進んだ。前方には最初に登った白笹山が、谷の向こうに大きくなって来た。
道はやがて一気に笹原を下り続け、さらに樹林の中へと入って行った。この道を歩く人は少なく、夫婦連れの他、単独行の男性に会っただけだった。
ところが、50分後に到着した沼原湿原、ここは人が溢れ、喧騒の世界となっていた。美しく咲き誇るニッコウキスゲ等を求め、バスで来る団体客も多く、汗臭い登山者はどうも場違いの様な世界となっていた。私はカメラを向けてキスゲ等の花々を撮った後、車へ戻った。
帰路、板室温泉に浸かり、さっぱりして家路に就いた。

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