1.カタクリの花に魅せられて・三毳山  229m 


期間:1993・3・28天候:晴れ メンバー:鈴木隆.鈴木カツ子 地図:下野藤岡
コースタイム:駐車場9:30−三毳山(竜ヶ岳)10:10−10:20−三毳関所跡10:50
       −奥社11:20−駐車場11:50


山行記録:東北道佐野SAの東にある三毳山。女性的な山容で、ハイキングには老若男女を問わず楽しめる。特に早春には、山麓の北側にあるカタクリの大群落が素晴らしい。これは地元の人達が良く手入れをして、年々その花の数を増し、今では北斜面を覆い尽くして、最盛期には時をも忘れさせてくれる程で、さらにこれを鑑賞する多くの人達がここを訪れる。
このカタクリの大群落と、そして関東平野の展望台ともなっている三毳山でもあるから、低山ながら関東百名山に選ばれたのであろう。
その昔、この三毳山には東山道が走り、その関所も置かれていたとの事。又、世を騒がした平将門を俵藤太、藤原秀郷がこの山でその軍を待ち伏せて、これを急襲し破ったとか。
さらには遠く万葉集に、東人の歌が紹介されている。「下野の三可母の山の小楢の巣 ま麗し児ろは誰が笥か持たん」はさらにこの三毳山を万葉の世界へ導いてくれる。
今日は妻を案内し、カタクリが満開になっているこの三毳山へ登る事にした。
静かにこの三毳山を楽しむならばカタクリの花期をはずした方がいい、さらに展望を楽しむならばそれは冬である。晴れた冬空に浮かぶ真っ白な富士山の展望は素晴らしく、感動的である。
山麓はカタクリの花を求め、ミツバチの如く数えきれない人、人、人で溢れていた。地元の長寿会の人達が、この時期だけは有料になる駐車場を管理していた。騒々しい程の人混みの列に従い、カタクリの咲く北山麓へ歩き進んだ。
ここには、私の知る限り日本一と思っている、カタクリの大群落が待っていた。
三毳山の北斜面を覆い尽くして、可憐なカタクリの花が咲き乱れている。鑑賞用に整備された砂利道や階段状の道には人の列が続き、ある人はカメラを構え、ある人はスケッチをしている。子供からお年よりまで、多くの人々がカタクリに魅せられていた。カタクリの花の中にはニリンソウ、アズマイチゲの白い花も競い合って咲いていた。腕章を付けた管理の人が花の解説をしてくれる。カタクリは雑木林の北斜面にしか群生していないのだということも、初めて知った。
妻はこんなに多いカタクリの花に、唯、感激の声を上げるばかり。私はあちらこちらとカメラを向けていた。記念写真を撮ったりしつつ、ゆっくりと見学通路を辿って行った。
40分後辿り着いたピーク、三毳山の最高点は229mの竜ケ岳であった。その昔ここでは雨乞いの神事が執り行われていたとか。ここからの展望は西の大小山、足利北部、そして袈裟丸山から皇海山、さらには上州赤城山を望むことが出来た。
一休みの後、私は三毳山を南へ歩き続けて、佐野インター側へ降りることにして、妻にはスタート地点の駐車場まで戻って、車を下山口へ廻してくれるよう頼んで、左右に別れた。
私は一人、三毳山ハイキングコースを辿った。今までの人ごみが嘘のように、静かな山歩きに変化した。
下り切った鞍部がその昔、東山道の関所跡と言われるが、今一つピンと来ない。わざわざ山を上がっていかなければならない道を造ってこれを通り、平野部をさらに歩くのは不便であろうと思えるからだ。
南より北へと、私の反対のコースを辿るハイカーも結構多い。さらにバスハイクでやってきた40名以上の団体とすれ違った。三毳山の登山コースとしては、南より北へ歩いて、最後にカタクリの花々を鑑賞するのがベストかもしれない。
私の辿ったこのコースで最後を飾るのは、富士の白雪と筑波山、そして渡良瀬川の先に広がる関東平野の展望であろうが、今はぼんやりとした春霞の中となってしまい、これはカタクリの花の時期には一致しないかもしれない。
私は展望台より関東平野を眺めた後、山麓へ降りて行くと、妻の笑顔が待っていた。

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