92.微かにも修験者の道・古峰ヶ原山  1377.7m
期間:2003.8.10  天候:快晴(台風一過) 単独行  地図:古峰原
コースタイム:古峰ヶ原健脚コース登山口林道路肩7:45―トラバース開始点8:55−
三枚石9:20-9:35−古峰原峠10:05−深山巴ノ宿跡10:15-10:25−
古峰原峠10:35-11:00−登山口路肩11:55
山行記録:782年(延暦元年)男体山を開山した勝道上人が、その願を掛けつつ辿って行ったコースの中間に位置する古峰ヶ原に、さらにその後、修験者達がこの禅頂行者道を辿って男体山へ向かった。ここ古峰ヶ原には勝道上人が弟子達と共に建てた、巴ノ宿跡が残されている。私は山頂部の三枚石とこの巴ノ宿跡を訪ねるべく、家を6時過ぎ出発した。
昨日は台風が日本列島を縦断し、各地で被害が出ていたが、ここ古峰ヶ原は台風一過の快晴が空一面に広がっていた。古峰神社大鳥居を潜り、さらに車を走らせ、神社を右に見て林道へ入ってまもなく、古峰ヶ原三枚石への直登コース(健脚コース・三枚石新道)登山口近くの路肩へ駐車し、身支度を整えた。ここには一台の先客が止まっていた。
7時45分スタート。このコースは標高差650mを一気に登るだけに、今日の快晴はちょっときつい登りになりそうだった。
尾根を越えて沢を渡る。普段なら水はチョロチョロしか流れていない小沢だったが、台風の降雨量の多さがここに現れていた。
尾根へと道は登って行き、その後はこの尾根を辿って登り進む。誰一人いない静かな山、道はしっかりとした踏み跡が続いて、何の不安もない。春にはシロヤシオが咲き競う所であるが、私は未だ春にここを登った事がなかったので是非訪れてみたい。
汗をポタポタと道へ落としつつ登る事約1時間、道は南へと向きを変えたトラバース道となった。ここが沢の源流部だった。周囲には緑の苔が石を覆い、奥秩父等を思い起こす、深山の趣ある私の好きな風景だった。
勾配が緩やかな道になり、さらに約30分程歩き進むと、広葉樹林帯が突然開け、三枚石に到着した。草原の中央に大きな石が三個重なっていた。その隣には、金剛童子が奉られているので、先ずは拝礼を済ませてから、腰を降ろした。
ここはかの勝道上人が天平宝宇元年(757年)11月4日開山したのは23才の時だったと、記念碑に刻まれていた。
家族連れでハイキングに来て、ここでランチタイムとするのも快い場所だ。
15分後、ここを下った。途中山頂にある三角点標石(1377.7m)を確認し、古峰ヶ原峠へと進んだ。道は昨夜の雨が川の様に流れていた。登ってくる夫婦連れの登山者に初めて会い、挨拶を交わした。さらに平地となって石が点在する場所、天狗の庭と案内されていた。
山頂より30分で峠、古峰ヶ原高原に到着した。
横根山より車道が通じ、白い車がやって来た。歩いて来た私を気の毒そうにジロジロ見て来るのは気分悪いものだ。
東屋で休憩の後、勝道上人ゆかりの深山巴ノ宿跡へと歩き出した。
ヒュッテ前の湿原、春はレンゲツツジの花が美しいところであるが、今はわずかにシモツケソウの花を見るだけだった。
10分程下ると、左に木の鳥居があり、ここを潜って沢へと石段を下って行くと、清水に浮かぶ平地に石碑や社が奉られている、深山巴ノ宿跡へ到着した。
清水が巴形に流れ込むのでこの名を付けたとの事。禅頂行者道で、宿には貴重な水場が欠かせない。ここはその水も豊富だった。樹林の中、清流がこれを囲んで流れている味わいのある場所だった。
再び古峰ヶ原峠へ戻って、少し早いがおにぎりの昼食を取った。今日は軽いハイキングの様な一日だったが、古い歴史が感じられる楽しい一日だった。
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