20.雪を纏った鋭鋒・地蔵岳    1274.3m


期間:2002.2.24  天候:快晴  単独行        地図:足尾
コースタイム:粕尾峠8:20−首欽地蔵8:50−地蔵岳9:30-9:50−粕尾峠11:00


山行記録:足尾町と粟野町との境界をなす山並、ここを行き来した人達の峠道、粕尾峠。現在の車道はその峠をやや北へ移動していた。粟野より足尾へ向かい峠が近づくと、真正面にピラミダルな山が聳えて来る、それが地蔵岳である。特に冬、雪を纏った時の姿は実に素晴らしい。西の県境尾根、大萱山側より望むと、地蔵岳はさらに高く聳えている。
初めて登った2月24日、残雪を全山纏った姿は実に美しく、容易に私を寄せ付けない厳しい顔をしていた。
粕尾峠に車を停め、南に続く雪面のトレースを忠実に辿って行った。桧の植林帯をどんどんと下って行くと、やや平坦な雪原の鞍部になった。ここが昔の粕尾峠だった。前方の地蔵岳は大きく聳え、私を圧倒して来る。
どこを登るべきか良く地蔵岳を見ると、直線的に登るのは険しくてとても難しい。やはり町境尾根と思える西側の尾根を辿ろうと考え、雪原の縁を西へと移動した。
すると、やや小高い山の中に、首の無くなったお地蔵様が奉られていた。首欽地蔵だ。その昔、人々はこの峠を使って、粟野と足尾を行き来し、このお地蔵様に拝したのだろう。雪か何かの原因で頭が欠け、どこかへ消えてしまったらしい。一人寂しく、残雪の山を登ろうとしている私には、先ずは拝礼をし、ご加護を願って手を合わせた。
いよいよ地蔵岳本体への登りである。ピッケルを突き立て、ゆっくりと登り進んだ。緩やかな斜面は落葉樹ばかりだった。登るに従い、傾斜を強めて来た。木に掴まり、ピッケルを突き立て、さらに登って行った。大きな岩があり、展望台となっていた。
前面には勝雲山、その奥が横根山、いずれも真白い姿を見せていた。今日の帰路途中に立ち寄って行こうと思っていた。そして大きく白い日光の山々、実に美しい。
西に目をやれば足尾の山々が険しい残雪を見せ、僅かに皇海山が覗いていた。さらに登って行く。左側は急峻であったから要注意だった。
右からの尾根を合わせさらに登って行った。汗がポタポタと流れ落ちた。
9時30分、地蔵岳山頂に到着した。ここには石の祠が奉られ、山名板が木に取り付いていた。三角点標石を探したが、ついに見つけられなかった。雪の下になっている様だ。
東から北への展望、特に北の展望、真白い横根山とその奥に日光連山が素晴らしい。
記念の写真を撮り、満足感に浸りながら下山した。
帰路は忠実に町境尾根を辿って、粕尾峠を目指した。この尾根は遠い昔、勝道上人が男体山の登頂を目指し、この尾根を修行しつつ辿ったとか。その後の修験者達もこれを辿る禅頂行者道の一部で、ここから古峰ヶ原山、深山巴の宿へと向かったのであろう。
さしたる難所もなく、無事粕尾峠に戻った。私の車の隣にもう一台が駐車、何と銃を小脇に抱えて、猟に向かう若者が出てきた。ここも早や物騒な時期となっていた。
私はその後、雪原の横根山と勝雲山を登ってから帰宅した。
2回目の地蔵岳登山は、2003年9月6日だった。曇天の中、粕尾峠より尾根を辿ったが、無雪期だから、わずか45分で山頂に立てた。三角点標石は登って行く踏み跡の正面に置かれていた。初めてこれに触れ、ずっと気になっていただけに、すっきりした気分だった。

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