60.早やとちり失敗山行の氷室山     1154.2m


期間:2003・1・18      天候:曇り   地図:沢入
メンバー:単独行          目的:栃木の山巡り
コースタイム:三滝入り口、林道の橋梁肩P:10;10−タイコオロシノ滝10:40―1040mピーク11:40−1030mピーク往復のロスタイム30分―氷室山12:30−12:40−十二山13:35−三滝分岐13:45−三滝展望台14:20−林道P15:00


山行記録:県境に位置する氷室山は、勝道上人が男体山へ辿った禅頂行者道の中にあり、
今なお地元の人々の信仰厚い山である。しかしその山名のピークはなく、稜線に静かに氷
室山神社が奉られている。
今日は田沼町作原の奥にある、三滝より氷室山を登ろうと、一人で出かけた。
氷室山へは一度葛生町氷室の奥へと車を走らせ、粟野町との町境の峠より稜線を辿って登
り、宝生山までのピストン登山をしていたが、峠よりの往復は労する事なく山頂に立ったの
で、余り印象には残らない山であった。
林道を作原の奥へと進むと、既に湧水をポリタンクへ満たしている人もいた。さらに進むと林道が旗川を渡りさらに高度を上げて行く。ここの橋の所には工事中の為、立ち入り禁止の立て看板があり、手前の広い路肩に駐車した。ここより三滝へのアスファルト道路が右岸の斜面に伸びていた。早速スパイク長靴を履き手には一応ピッケルを握って、この道を歩き出した。ここも昨年の台風により、路肩が崩れて車は進入禁止となっていた。20分で休憩所の立っている林道終点となり、いよいよ沢沿いの登山道へと入って行った。
北斜面に取り付けられた道には凍てついた雪が残って、滑り易く慎重に進んで行く。谷底へは10m以上はあって、滑落は一命の終わりにもなりかねない。
木の標識が立ち、右タイコオロシの滝、左三滝展望台となっていた。さらに案内板も立っていたのにこれを良く読めば以後の苦労はなかったろうに、つい沢コースを辿って行く事だけが頭の中にあって、何も考えずに沢へ降りこれを進むと、まもなくタイコオロシの滝となった。大岩の間を落ちる滝、これはどう見ても左岸を高巻くか、それとも左岸の尾根に取り付いて登り続けて氷室山頂を目指す、のいずれかだろうと思えた。私は迷わず急登に耐えての尾根コースを選択した。
谷からの取り付きが最もきつく、危険度も高い。足場も悪く、落石も多いので、ピッケルを突き立て、立ち木やしっかりした岩を掴みつつ、少しずつ登って行った。30分も登ると、尾根もやや平坦になり、ここでパンを取り出し一息を入れた。このままもう少し尾根を登り続ければ、氷室山頂には30分後には到着出来ると、その時は思っていた。
さらに登り進んだ。尾根は藪も無く快適に進む事が出来た。ここは鹿が多いらしく、笹は食べ尽くされ、糞だけがやけに眼についた。沢より1時間後、ピークに到着した。すぐ下には踏み込まれた登山道があり、これは稜線の登山道と思い、北に見えるピークが氷室山と早や合点をして、さっさとそこへ向かって歩き続けた。
到着したそのピークには氷室神社はなかった。ここで初めて地図を見て、自分の早や合点の誤りに気がついた。稜線の道と思っていたのは、葛生町氷室の集落より登って来る登山道で、昔からの氷室山神社への参道であった。そしてここは1030mピークだった。
元のピークへと戻る尾根より北に眼を向ければ、送電線の赤い鉄塔が立つ峠が見えた。それは葛生町と粟野町の境の峠で、以前氷室山に登った時のスタート地点であると確認できた。30分のロスタイムとなってしまった。
尾根を辿って行くと、やがて稜線の道に合流した。ここには右氷室山の標識が立っていて、そこよりわずかで見覚えのある氷室山神社に到着した。時に12時30分となっていた。ザックよりおにぎりを取り出し、暖かいお湯との昼食をとった。杜に囲まれた石の社や灯篭を薄く雪が覆っていた。
記念の写真を撮った後、十二山へと向きを変え、雪が20cm程積もった稜線の道を歩き出した。登山者や猟師達が多く歩いた道らしく、しっかりとしたトレースがつけられていた。
私はこれをただ辿って歩いて行けばいい。下ばかりむいて歩き進むと、トレースはいつもピークを避け、トラバースしつつ、十二山へと進んでいたので、気がつけば、登ろうと考えていた三角点のある宝生山は、既に後方へとなってしまった。戻れば20分くらいだろうが、以前登っていたので、まぁいいかと自らを納得させて先へと進み、13時35分十二山に到着した。氷室山より約1時間の距離だった。ここは4回目で、直近では昨年の12月に根本山より熊鷹山へ縦走した時以来だったが、その時は雪も吹きかけて霞の中だった。
南斜面には雪はごくわずかしか残っていなかった。三滝への分岐点は十二山より、熊鷹山へ向かう次のピークだった。少し下るとそこには雪はなくなり、風もない陽だまりとなっていた。ザックを降ろしパンを食べる。失敗続きの山行ではあったが、満足感に浸っていられた。そして私の背後には登り損ねた宝生山が谷越えに望めた。
尾根をどんどんと下って行くこと35分、三滝の展望台に到着した。大きな岩の間を三段に。なって流れ落ちる三滝、実に美しい。春ならばヤシオツツジがこれを彩り、夏には緑、秋には紅葉が彩りをそえてくれるだろう。良く見ればここより沢コースが分岐していたのだった。
私は三滝の標識を無視したばかりに、尾根へと急登、あげくに氷室山の方向を早合点の失敗をしてしまった。もっと素直に三滝を見物してから氷室山を目指したならと悔いてみても始まらない。春に再度来てみようと思いつつ、ここを離れた。
タイコオロシの滝分岐点に着き、立て看板を良く見れば、沢コースも明記してあった.もっと注意力を磨かなければならないと反省しきりであった。
15時スタート地点に無事戻れた。失敗の多い今回であったが、三滝〜沢コースより氷室山〜十二山〜三滝の周回コースは素晴らしい登山コースと私は確信した。

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