19.ブナの茂る静かな峰・花瓶山     ハナカメサン  630m


期間:2002.2.23   天候:晴れ  単独行  地図:町付
コースタイム:蛇穴新田峠8:00−754mピーク8:40−花瓶山9:50-10:10−
754mピーク11:05-11:15−蛇穴新田峠12:05


山行記録:八溝山系の中では、最も登山距離の長い花瓶山を目指して、関ノ田和峠より北進する予定で2月16日に出かけた。しかし出発時間が遅く、手前の高戸山を越え、さらに北上した560mピークよりの下りで県境尾根を見失ってしまった。薄暗い桧の樹林の中では心の余裕はなくなり、さらに時間的余裕もなくなって、結局は無理は禁物と、後日を期して引き返した。
2002年は1月7日に馬頭の女体山、高鳥山、薬師岳に鷲子山を登り、2月10日に御富士山、東堂山、梁瀬山、萬蔵山に御亭山。17日は石尊山に高倉山と八溝の山々を連続的に登ったが、ほとんどが30分以内でピークに立てる山ばかりで、感動は今一つで、物足りない思いが強かった。
いよいよもって花瓶山を登るべきと、2月23日実行に移した。今回は北の蛇穴新田峠より南下するコースに変更した。前回コースの県境尾根での苦労よりも、那須岳の残雪を望見したいと思ったのもコース変更の理由でもあった。
途中、奥の細道で芭蕉も寄った、黒羽の名刹「雲厳寺」にて拝礼をした後、茨城県大子町蛇穴へ抜ける道を辿り、蛇穴新田峠手前の路肩に駐車。急ぎ足ごしらえを済ませ、8時出発した。
峠の南尾根へと、笹の中に踏跡が見えたので、これを辿って尾根に立った。尾根には明瞭な踏跡が続いていた。これはどうやら登山者だけでなく、林業関係の人達の他、猟師達も多く歩いている様な気がした。
少し進むと、西側が植林されたばかりの展望の開けた地点に出た。残雪姿も美しく那須岳が間近に望め、遠くは日光の男体山に女峰山に赤薙山、手前に高原山といずれも残雪が白く眩しく輝いていた。
さらに南進すると、両側共に雑木林が展開した。背後には柔和な山容の八溝山が間近に望め、展望台さえ確認出来た。足元には10cm以上も落ち葉が積っていて、これを蹴散らす様に歩き進んだ。
小さなピークを越えると、藪が現れて来た。膝程の長さだったので苦にはならず順調に歩き続け、8時40分、笹のピークに立った。(この時は気付かなかったが、西に見えたピークが三角点のある754mピークだった。)
休む事なく、ピークを下り南進を続けた。すると左右両側共、桧の樹林帯で鬱蒼となってきた。県境の尾根にはコンクリートの境界杭があり、これを確認しつつ、ゆっくりと歩き進んだ。時にこれも土に埋もれ県境尾根も怪しくなってしまう。出来るだけ踏み跡のはっきりした方を歩こうとしても、藪がこれを覆ってきた。
栃木県の禁猟区の立て札があって、これが県境尾根であろうと思い、少し東へ向かった。南進する尾根の方が大きな尾根に思えたので、地図で確認すると、どうやら727mピークの位置に私は立っている様だった。
やや東に向かい進んだ後、南にある尾根を辿ると、藪は消え、踏み跡もはっきりして来た。ここは両側共桧の樹林となっていた。さらに間伐された桧が尾根を塞ぎ、私の前進を阻んで来る。これを避け、時には踏みつけて、ゆっくりと歩き進んだ。
やがて、今にも朽ち果てそうなブナの老木が1本、尾根に立っていた。さらに進むと又1本。ここもかつてはブナの大木が生い茂っていたであろうと想像出来るが、今は桧の人工林に変わってしまった。
スタートより2時間近く歩き続けて来た。前方にやや高いピークが見えて来た。どうやら花瓶山頂の様である。東の茨城県側は自然林が残され、その中にはブナの大木が何本も立っていた。さらにナラやクリ等の広葉樹が春を待っていた。
栃木県側は全てが桧の人工林で対照的だった。少し登ると、茨城県の「自然環境保全地域」の白い杭が立っていた。わずかに残ったブナ林を守る茨城県の林野行政を嬉しく思った。踏み跡はピークを避け、山腹をトラバースして伸びていた。私はピークを目指し直登して行った。
9時50分、「花瓶山自然環境保全地域」の白杭が立つている、花瓶山頂に到着した。誰もいない山頂は静寂そのものだった。展望は北の樹林越しに茨城の山並が見えたが、その山名はしらなかった。この山頂へ立てるのは南からのコースの方が時間的にも体力的にも北コースよりもきついと思えた。
パンを取り出し、コーヒーと共にこれを味わった。さらに記念写真を撮ったりして20分後、山頂を下った。
同じ道を辿るだけだから気は楽だった。順調に歩き続け、11時5分、三角点ピークに到着した。登る時には気付かなかったのに、紛れもない三角点標石がピークの中央に埋められていた。地図に記載されている754mピークだった。
一息を入れた後、踏み跡に従い直進してピークを少し下った。どうも県境尾根とは違う。再びピークへ登り返した。地図と周囲の地形を見比べ、やっと気が付いた。行きに辿った時には三角点ピークの東側のピークを南進して、三角点ピークは踏んでなかったのだった。
再び県境に位置した藪のピークに戻り、北に続く県境尾根を辿った。ここには1m弱の藪の中に踏み跡が続いていた。歩き進むと、八溝山がどんどん近づいてきた。やがて那須岳の展望も素晴らしい植林されたばかりの地点に到達し、これをカメラにおさめた。
12時5分、蛇穴新田峠に無事戻った。
時間も早いので、八溝山系で残っている低山を歩いてから自宅へ戻る事にした。目指すのは、馬頭町大那地より県境尾根へ入る、新田山と尺丈山だった。新田山は20分後、三角点と山名板を確認出来た。尺丈山は茨城県側に立派な社が立ち、三角点標石は県境尾根に埋められて、これに触れた。さらに最後に、夕闇迫る中烏山町の筑紫山を登り帰宅した。

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