94.噴煙を見つめて登る・那須茶臼岳    茶臼岳 1915m 地図:那須岳 
期間:2003.8.24天候:快晴 単独行 南月山1775m 白笹山 1719m
コースタイム:沼原P8:05−沼原湿原8:25−姥ヶ平分岐9:25−牛首9:55−峰ノ茶屋10:05−茶臼岳10:25-10:35−牛首11:00−南月山11:35-12:00−白笹山12:35-12:40−沼原P13:30
山行記録:那須といえば、先ず頭に浮かぶのは噴煙を上げている茶臼岳である。那須火山帯の盟主でもある茶臼岳、しかし現在は山頂近くにロープウェイが通じ、僅か30分程でその山頂に立つ事が出来る。シーズンには観光客と軽装ハイカーで山頂は賑わい、私の様な者にとってはどうにも喧騒の山頂は好きになれず、先ずは三本槍岳や朝日岳。茶臼岳の裏側を通って南月山へと歩き進む事が断然多かった。
昨夜は町内の納涼盆踊りで、終了まで踊りの輪の中にいた。さらに最後の酒盛りはビールを飲み過ぎてしまった。しかし、今年の冷夏にあって、昨日から続く快晴の中、家でゴロゴロする気にもならず、昨日は日光の高山だったから、今日は那須茶臼岳周回コースを沼原を基点にして歩こうと、宇都宮を出発した。
沼原の駐車場では、今日の行楽客を当てこんで、タコ焼きの準備中だった。頭上には白笹山が青空に聳え、流石山から大倉山、三倉山が美しかった。早速山支度を整え、湿原へ降りて行った。
湿原は既にニッコウキスゲは終わり、シモツケソウの紅花とサワギキョウの紫花が競い合っていた。ハイカーも少なく、朝の湿原は静かだった。
さらに三斗小屋温泉への登山道を辿り、北へと登り進んだ。
今日は北進して、姥ヶ平より峰ノ峠、そして北より茶臼岳へ登り、牛首へと廻り込んで降り立ち、さらに南月山から白笹山へと歩き続けて、沼原の駐車場へ降り立つ予定である。
沼原よりは唯一人、この道を辿り進んだが、途中三斗小屋温泉に泊まった2組の夫婦が降りて来ただけで、実に寂しいくらい静かだった。
太陽の光は今日も強烈になって来たが、今は樹林の中そう苦にはならない。しかし気温は徐々に高まり、汗がポタポタと地面に落ちて行った。
湿原より約1時間、道は下りにさしかかると、突然前方が開け、正面に噴煙を真上に上げた茶臼岳が聳えていた。見上げるその姿は迫力があり、青空に聳えて神々しい程美しかった。過去秋晴れの中、隠居倉より見上げた茶臼岳も美しかったが、ここより見上げる茶臼岳の方が私は好きだ。紅葉の時はさらに美しいであろう。
三斗小屋温泉への道と別れて、姥ヶ平へ向かって登り進むと、前方を登る5人パーティが見えた。追いつくと、余り汗もかいていなし、ザックがやけに軽そうだった。どうやら三斗小屋温泉泊りをした人達の様だ。
姥ノ平が近づくと、樹木は潅木やハイ松等に変化し、強い太陽の光をまともに浴びて来た。そして、目の前には茶臼岳が立ちはだかっていた。
私は休む事なく、ゴロゴロした溶岩が冷えた石な中を、ゆっくりと登って行った。上から20名以上の団体が降りて来た。ロープウェイ利用した三斗小屋温泉へ向かう人達だった。
牛首には9時55分到着した。左折し、噴煙の下を峰ノ茶屋へと北進する。硫黄の臭いが強烈な茶臼岳西面の無限地獄と呼ばれるトラバース道である。
今日の快晴を待ちわびた行楽客やハイカーは多く、次々と行きかい、挨拶をかわした。
峰ノ茶屋手前で右折し、茶臼岳本体へと登り進んだ。
お釜の北側を回り込み、10時25分茶臼岳山頂に到着した。ここは老若男女で賑わう山頂で、私にはどうも苦手な観光地風景であった。
温泉神社奥の院の石祠に拝礼し、記念の写真を撮った。山頂からは北の朝日岳に三本槍岳、西に流石山から大倉山、三倉山、遠く高原山や日光の山々、南に南月山や那須野ヶ原をと、展望が広がり、これをカメラに納めた。
東のロープウェイ山頂駅へと降りた後、牛首へと続くトラバース道を辿った。
牛首に到着、茶臼岳を一周した様なものだった。ここから南へ進み、南月山へ向かった。今までの人の賑わいが嘘の様に、一気に静けさを取り戻して、快適な登山道になって来た。
登りも終ると、日の出平。ここからはまるで高原散歩の様な快適な道で、夏の太陽を浴びながら展望を楽しみつつ進み、11時35分南月山に到着した。牛首より35分の距離だった。山頂には古い石社や石碑が立っていて、月山信仰の歴史を感じた。茶臼岳の喧騒とは違い、ここは静かに360度の大展望が楽しめる山頂だった。特に流石山から大倉山、三倉山、そして男鹿岳に大佐飛山への眺めが素晴らしい。
山頂の三角点標石を捜すと、残念にもこれを何とも感じていない、若い女性の尻の下になっていた。チキンラーメンとコーヒーにビスケットの軽食を取っていると、私同様に山頂の三角点標石にこだわる人がやって来て、私に「三角点はどこですか?」と聞く。指を指して「彼女の尻に下ですよ」と答えた。彼は食事中の彼女にどいてもらいこれをカメラに撮っていた。私はどこの山の三角点標石に対しても、どんなにか苦労して、これを山頂まで運んで、測量をし、埋設したのであろうと思うと、優しく撫でて上げても、これを尻の下にする事は失礼に思う一人だった。
充分な休息をとった後、12時山頂を下り、南に続く尾根を辿って白笹山を目指した。鞍部から白笹山へかけては、味わいのあるコメツガの林がある。今日の様に太陽の光線が強烈な日には、実に嬉しいものだった。
白笹山頂に到着したが、ここは潅木に囲まれて、展望は良くない。山名板があるのでそれとわかる様な所だった。しかし、麓の那須野ヶ原から見上げると、真っ先に目につくのがこの白笹山であった。
僅かに山頂を下ると、北の流石山から大倉山、そして眼下にはこれから下りて行く、スタート地点の沼原ダムとここへ揚水する深山ダムが蒼い水を湛えていた。
さらに下り続けて、13時30分、沼原駐車場へ到着したが、ここは既に行楽客が溢れていた。

inserted by FC2 system